首都高速と警視庁、それぞれ数字が違う事故データを所有...安全対策に疑問

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神奈川県横浜市南区高砂町の首都高速狩場線阪東橋出口につながる側道で2017年6月に起きたライダー落下事故現場
神奈川県横浜市南区高砂町の首都高速狩場線阪東橋出口につながる側道で2017年6月に起きたライダー落下事故現場 全 1 枚 拡大写真

警視庁と首都高速会社が所有する二輪車の事故総数、死亡事故件数の数字が大きく食い違っていることが明らかになった。事故データは安全対策に大きな影響を与える指標だ。なぜ両者が異なる事故データを持っているのか。

今回明らかになったのは、首都高速全域を対象にした1999~2005年の二輪車死傷事故総数と、その中で死亡に至った死亡事故件数だ。

2006年当時、警視庁はこのデータを東京都公安委員会に示し、首都高速の自動二輪車の死亡事故は、他の高速道路と比較して「突出して多い」と説明した。その後、同委員会は首都高速の一部区間の2人乗り規制を継続させることを決定した。

首都高速会社は、ライダー落下死傷事故が続くことについての安全対策を取材する過程で、今月14日に開示したもの。警視庁と同じ期間に発生した同じ自動二輪車の事故データを示して「事故があることは事実だが、減っている」と、主張した。

警視庁交通規制課と首都高速交通安全推進課の把握する首都高速全域での交通事故発生状況(1999~2005年)は以下の通りだ。

事故形態 警視庁調べ 首都高速調べ
死傷事故総数 125件 559件
死亡事故件数 28件 30件
死亡事故率 22.4% 5.36%

首都高速は2012年~2016年のデータも示した。
死傷事故総数 378件
死亡事故件数 13件
死亡事故率 3.4%

両者の事故データの決定的な違いは、死傷事故総数である。首都高速は警視庁の約4.5倍の事故を把握していることになるが、同社が把握する死傷事故件数で「警察に届けていない事故はない」と、話した。死亡事故の減少に国を挙げて取り組む中で、警察と高速道路会社の把握する死亡事故件数が食い違っていることは驚きだ。

首都高速の二輪車事故の状況は、警視庁のデータでは、一般道を含めた道路全体と比較して著しく悪いものに読める。反対に、首都会社のデータは、死亡事故率においてNEXCO系各高速道路よりも低いことを示す。

首都高速は全国で唯一、2人乗り禁止規制が残る。他の高速道路より死傷事故率が低いなら規制は不要になるが、一方でライダー落下事故という、他の高速道路では発生していない極めて特異な死傷事故が起きている。

二輪車事故データは、現実を反映しているのだろうか。

《中島みなみ》

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