次世代型電動車椅子をUDタクシーに搭載、全国初の高齢者向け新モデル事業...川崎市 

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UDタクシーとパーソナル・モビリティを組み合わせた川崎市の日本発のモデル事業
UDタクシーとパーソナル・モビリティを組み合わせた川崎市の日本発のモデル事業 全 3 枚 拡大写真

川崎市は、全国初となる高齢者向け新サービスモデル事業を始める。同市次世代産業推進室はモデル事業の狙いについて、こう説明する。

「高齢になると行動範囲が狭まる。一人暮らしだとその傾向は強くなるし、家族と住んでいても、自分のためにお願いするのは負い目が生じる。UDタクシーを使って気軽な外出が可能になる。もう1つは、モデル事業で便利なパーソナル・モビリティを知ってもらい、上手に使ってもらうことで行動範囲を広げてもらうこと。『福祉と産業』の融合を目指す」

モデル事業の概要は、希望者に有料で鎌倉観光や川崎緑地巡り、あるいはフリープランのユニバーサル・ツーリズムを提供することだ。しかし、実施主体に神奈川県で初めてユニバーサルデザイン(UD)タクシーの運行を始めた川崎タクシー名乗りを上げて、そこにパーソナル・モビリティベンチャーの「WHILL」(ウィル)が開発した次世代型電動車椅子が用意されていることが、単なるユニバーサル・ツーリズムとは大きく違う。川崎市が高齢者向けの「新しい交通サービスの創出」と呼ぶ理由は、ここにある。

このモデル事業の利用者で募集を想定するのは「ふだん車椅子は使わないが、高齢になり移動がおっくうになっている人」。

UDタクシーに用意されるのは、24の小さなタイヤを1つの動輪とするオムニホイールを採用し、50~75mmの段差を乗り越え、最少回転半径75cmという小回りの利く電動車椅子だ。タイプにもよるが雪道の踏破も可能にした動力性能は、手動の車椅子をはるかにしのぐ便利さを備えている。1台でどこへでも行けるというコンセプトで、WHILLはパーソナル・モビリティと呼ぶ。

創業者の1人でCEOの杉江理氏が日産自動車在籍中に、ソニーやオリンパスの機械系企業にいた内藤淳平氏や福岡宗明氏と共に作り上げた。その後2012年に会社設立。杉江氏はこの車椅子の製造をきっかけに、30歳以下の日本代表としてダボス会議出席することにもなったという評価の高い製品だ。

「WHILLの製品は川崎市の認証福祉製品でもあるが、モデル事業でこうした川崎タクシーのユニバーサルツーリズムと共にモデル事業利用者に知っていただくことで、利用者の行動範囲を広げられるきっかけにもなるし、販路拡大につながる」(同市次世代産業推進室)

ユニバーサル・ツーリズムは、高齢や障害などに関係なく、誰もが気兼ねなく参加できる旅行のことだ。UDタクシーでの移動に加えて、こうしたぱーそなる・モビリティが供えられれば、より多く人が移動する歓びを長く実感することができるようになる。
川崎タクシーは、ユニバーサルデザインタクシーとパーソナルモビリティ「WHILL」を組み合わせた、新たな交通サービス…

《中島みなみ》

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