マン島、たった1人の日本人ライダー…山中正之「TTは人間力が試される」【インタビュー】

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山中正之と彼を支えたスタッフ全員
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同じマン島のレースでも、アマチュア色の濃いマンクスGPからTT出場をつかみ取った山中正之にとって、レジェンドライダーの集うTTの熱気は、特別なものだった。

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「大きな舞台に立っている気がした。コーナーというコーナーに、ストレートでも、体に触れられるのではないかというぐらいの近さに人だかりがあった。練習走行で慣れるかと思ったが、レースが進むうちにどんどん人が増えて、こんなところまで出てきてるのって感じに膨らんでいった」

山中の出場した排気量600ccが競う「スーパースポーツ」クラスは84台がエントリー。公道を閉鎖した1周37+3/4マイル(60.7km)のコースを4周して、周回タイムを競う。

クローズド・サーキットレースのように出場車両が一斉にスタートするわけではなく、車体にセンサーを付けた車両が、10秒ごとに1台ずつスタートするタイムトライアル方式を採用して、ラップタイムの速さを競う。練習、予選を繰り返し6月5日の決勝第1ヒートの出場リスト数は、68台に減っていた。

「出場回数が多く、経験値が高く速い選手が、先にスタートする。ニューカマーは後続からのスタートになる。速い選手は最初からタイムを刻んでくるが、経験が少ない選手は、本来は徐々にタイムアップしていかないと危ない。かといって、ゆっくり慣れている時間を取っていると、差を詰められてどんどん抜かれることになる。相手と一斉に競うわけではないので、どこまで転ばないで、自分の力を最大限出せるか。自分の精神状態に左右される、まさに自分との闘い」

2017年のマン島TTは、かつてない悪天候に見舞われた。5月27日、29日の練習走行は、濃霧や悪天候で中止。6月5日の決勝第1ヒートも濃霧のため2時間遅れ。6月8日に予定されていた決勝第2ヒートは、9日に延期されたあげくに中止となった。ライダーは開催期間中ずっと、目まぐるしく変わる状況の変化に翻弄され続ける。

「あせって転んでしまって重大事故になってしまうことが今回も起きていた。中止が続いて、ここで記録を出しておかないと、走る時間がなくなるという焦りだったと思う。乗れなくなるかもしれないということは、すごく不安なんですよ。ただ、そこで気持ちを切り替えていかなければならない。レースを待つ時間も自分との闘い。そういうレースで、自分は力が発揮できると思っている」

TTでは完走したライダーすべてにメダルが贈られる。表彰台に上がることだけが名誉ではない。苦難を克服して完走することこそが賞賛に値する。TTはTourist
Trophy(=ツーリスト・トロフィ)の略称、遠征するスポーツマンに与えられるトロフィだからだ。

《全3話 2話目》

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