デザイン学生にモーターサイクルの楽しさを伝授…自動車技術会のデザイン公開講座

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受講生たち。自分で描いたデザインスケッチとともに記念撮影
受講生たち。自分で描いたデザインスケッチとともに記念撮影 全 19 枚 拡大写真

デザインを学ぶ大学1、2年生にモーターサイクルの魅力と、そのデザインの楽しさを伝えるワークショップ「二輪デザイン公開講座」が、8月24~25日に長岡造形大学(新潟県)で開催された。

このワークショップは、自動車技術会デザイン部門委員会が2013年から毎年8月末に開催しているもので、今回が5回目となる。日本でモーターサイクルを手がけるホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキに所属するデザイナーやクレイモデラーが講師を務めている。

開催の背景にあるのは、国内2輪車市場の縮小からくる危機感。モーターサイクルはカメラと並んで、日系ブランドが国際的な競争力を保ち続けている数少ないプロダクト。しかし国内市場が衰退してしまうと業界志望者が途絶え、やがて競争力を喪失してしまうことにつながりかねない。このため学生たちにモーターサイクルのデザイン、あるいはモーターサイクルそのものに興味を持ってもらうということが開催の大きな目的だ。

「二輪デザイン公開講座」の受講者は4年制大学のデザインコースに在籍する1、2年生。全国13校から31人(男子22人、女子9人)が参加した。まだ専門課程に進む前の段階のため、実務スキルを教えるというよりも、デザイン作業の実際を体験してもらうということに重点が置かれている。

ワークショップはまず、学生以外の一般来場者も見学できるプログラムからスタート。GKダイナミックスでヤマハ車のデザインを数多く手がけた一條厚 相談役の基調講演で始まり、「デザイン基礎講座 」、デザイン作業を実演する「プロの技講座」と続いた。

一條相談役の基調講演は「二輪デザインの今・昔」というタイトル。モーターサイクルは歴史的、文化的な背景の影響を受けて、さまざまなデザインが生み出されてきたことが語られた。また「カッコいいから買いましたと言われると、こんなに嬉しいことはない。デザインは他人の人生に関わる仕事だ」と、デザイナーとして働くことの醍醐味を語った。

続く「デザイン基礎講座」では本田技術研究所の澤田琢磨 主任研究員が、実際のデザイン開発業務の流れなどを紹介。「なにかを創り出すことの、すべての行為がデザインだ。絵を描くことだけがデザインではない」という言葉は、デザインを学び始めたばかりの若者たちに強く響いたことだろう。

その後は受講生のみのプログラム。スケッチ演習ではオリジナルのデザインを構想し、描くことが求められた。しかしまだ基礎課程段階ということもあって、画材の使い方から教わるシーンがあちこちで見られた。クレイモデル制作体験では、ほとんどすべての学生が、初めて切削ツールに触れた様子。デザイナーやクレイモデラーが手本を示しているときの眼差しは真剣そのものだった。

また今回は、液晶タブレットの操作体験もプログラムに追加され、タブレットでの基本的なスケッチの描き方もレクチャーされた。これはデザイン環境のデジタル化が進んでいる実情を反映したもの。講師を務めたデザイナーのひとりは「まだ使いこなせなくてもいい。実際のデザインツールを使ってみたという体験を得るだけでも、財産になるはず」と語る。

すべてのプログラムを終えた受講生たちは、いずれも「楽しかった」「勉強になった」と口にしていたが、意外だったのは指導にあたった現役スタッフからも「疲れたけど、楽しかった」と言う声が多数聞かれたこと。どうやら、他人に教えることで「デザインするということの意義」を再確認することにつながったから、ということのようだ。

ワークショップは、プロの仕事の一端に触れた学生と「いまどきの若者」の感性に触れた講師陣の双方に、大きな刺激を与えたようだ。なお自動車技術会デザイン部門委員会では、来年もこのイベントを開催する予定だという。

《古庄 速人》

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