【アイサイト ツーリングアシスト 公道試乗】アクセルとブレーキの操作時間が96%も減るなんて…中村孝仁

試乗記 国産車
スバル アイサイト ツーリングアシスト 公道試乗
スバル アイサイト ツーリングアシスト 公道試乗 全 7 枚 拡大写真

過去にもクローズドの場所では試乗体験のある、スバル・アイサイトツーリングアシスト、今回初めて公道でそれを試すことが出来た。

今回の試乗車は『レヴォーグ 1.6GTアイサイト』。何しろ公道ではまだ乗ったことがないので、改めてその訴求ポイントを確認すると、内外装のリフレッシュはともかくとして、振動や騒音を抑えた高い動的質感で、特に上質な乗り心地や静粛性をチェックして欲しい、ということだったので、アイサイトの性能も含めて改めて、レヴォーグというクルマを紹介したいと思う。

改良型のレヴォーグは、とりわけ前後ダンパーやスプリングを変更して乗り心地を乗り心地を改善したということだった。少なくとも首都高速レベルのスピード領域で、路面の繋ぎ目を超えるような時は、入力される振動も小さく、収まり、いなし感いずれも優れていると感じた。レベルは相当に高いと思う。しかし欲を言えば、もう少しフラット感を突き詰めて欲しいという印象があるのと、何よりもリバウンド側の収束感が今一つの印象があった。勿論これは相当な辛口の批評であって、同セグメント日本車のライバルと比較した時は、ほぼトップレベルの乗り味と言って過言ではない。

次に静粛性。前後ドアガラスの板厚を0.5mm厚くして4mmとした効果か、耳に入る音の量は明らかに減少している。勿論静粛性に対する対策はそれだけにとどまらず、色々と施されているがここでは敢えて割愛。ただ、社内測定では確かに静粛性が増しているのだと思うが、他が静かになった分、停車寸前のリニアトロニックが発するヒューヒューという高周波の音は却って増幅された印象で、リアは良くてもフロントはエンジンルーム及びフロアからの透過音をもう少し下げてもらっても良いように感じた。

この他、電動パワステの精度が改善されているということで、ステアフィールは実に良くなっている。実はこの部分、後述するアイサイトの操舵アシストにも影響を及ぼしているというのだ。

ということで改めて、アイサイト・ツーリングアシストについてである。これまではバージョン○○で語られていたアイサイト。今回からはその名もツーリングアシストと呼ぶようになった。ということは次のバーションは別の名前ということか?

有難いことに、停車中でもDレンジに入っていれば、ACCを作動させることが出来る。設定されるスピードは30km/h。走り出してセッティングを変えればよいわけで、これによってほぼ全域でアイサイトのACC部分が使えるようになった。ついでに言うと、新東名高速道路などの最高速度アップを見越して、ACCの設定範囲が120km/hまで上昇しており、実質的に高速道路での稼働領域が広がり、ほぼほぼ、高速の追い越し車線で使えるようになったのは非常に有難いことだ。

首都高に入ってすぐにACCをオン。勿論車線をキープするステアリングのアシストもオンにする。しかし、最初に進入した右コーナーであっさりとステアリングアシストが切れてしまった。というのも、基本、各道路の設定スピードを読み取っていて、それを超えるスピードで進入した場合、アシストの回路が切られるように制御されているということで、首都高環状線の制限速度50km/hのところ、65km/hに設定していたためにどうやら切れてしまったらしい。ただ流れに乗ろうと思えば70km/hは出していないと乗れない。本音と建前ではないが、環状線50km/h制限も今は有名無実に近いものがあるから致し方ない。

こうした点を除けば、車線キープはなかなか上手だ。それより何よりこのアイサイトが優れていると思うのは、加減速の仕方。とりわけブレーキングは前車追従中に、前車がブレーキングをすると、ACCの性能如何によってはまるでチキンレースのように直前までブレーキを踏まず、ほとんどカックンブレーキにように減速するものもある。こうなると人間の意思に反しているので、我慢できずにドライバーが先にブレーキを踏んでしまうが、スバルのツーリングアシストの場合は安心して任せていられる。この点は、世界広しと言えども、これまで僕が体験して優れていると思ったメルセデス、BMW、ボルボなどのACCよりもはるかに先を行く制御が入っているから、恐らく世界一と言っても過言ではないと思う。

加速も実にスムーズだ。そしてステアリング制御に関してもちゃんと微舵をあてながら曲がっていくので、こちらも非常にスムーズ。まさしくリアルワールドで使えるACCに仕上がっている。驚くことに、運転負荷の軽減効果は、ハンドル操作で78%減。そしてアクセル・ブレーキ操作で実に96%減だという。まあ、今のところハンドル操作に関しては手を離してはいけないことになっているので、この軽減効果はあまり期待できないが、例えばアクセル操作とブレーキ操作に関しては、料金所などでも前走車いる限り一切必要なくなるから、この軽減効果は非常に大きい。改めて、長距離をこのアシストで走ってみたいと思った次第である。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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