【フランクフルトモーターショー2017】コネクテッドなマセラティ発見…クアルコム

自動車 ニューモデル モーターショー
NMW クアルコムブース
NMW クアルコムブース 全 10 枚 拡大写真

フランクフルトモーターショーでは、「New Mobility World(NMW)」が併催されている。半導体メーカー、急速充電器や自動運転技術、セグウェイや電動自転車の展示がある中、ちょっと変わったマセラティ『クアトロポルテ』を発見した。クアルコムという半導体メーカーが製作したコネクテッドカーだ。

【画像全10枚】

自動車関係で最近注目のIT系企業といえばNVIDIAを挙げる業界人が多いのではないだろうか。しかし自動車業界にプロセッサを含む半導体を提供している企業はNVIDIAだけではない。また、GPUだけで車が動くわけでもない。クアルコムは、ARMやNXP、ルネサスなどと並ぶ老舗半導体メーカーで、Snapdoragonプロセッサを筆頭とし、スマートフォンやPCの通信モジュールのチップセットなども手掛けるメーカーだ。

自動車関係に直接かかわる部分では、EVのワイヤレス充電システムで名前を聞いたことがある人もいるだろう。位置決め制約の少ないワイヤレス充電器や、走行しながら充電するシステムなども開発している。

展示されていたマセラティは、センターコンソールに15インチの液晶ディスプレイを設置したもので、現状、実用サービスとして実現されているコネクテッド機能がほぼほぼ搭載されている。クラウドとつながったインテリジェントなカーナビ。音声入力による車載端末および内外装の補器類操作。3Dアラウンドビュー。メールやスケジュールの管理などを実現している。また、運転席のメーターパネルもフル液晶ディスプレイとなり、ナビ情報などの連動表示も可能だ。

これらを利用したデモカーの具体的機能は、たとえば、3Dアラウンドビューは、上部からの俯瞰映像だけでなく、任意の角度からの画像を合成表示できる。4台のカメラが撮影した映像から、周辺の状況と自車のモデルデータを作成し、CG制作システムのように、好きな角度からの映像を確認できる。

4つのマイクを利用して同乗者個別の発話をモニタリング可能だ。走行中や音楽を聴いているとドライバーが前を向いて話している言葉は後ろの人は聞き取りにくい。個別の発話を拾うことで、後席のスピーカーにドライバーの声を届ける(逆もOK)ことができる。ノイズキャンセラも実装されており(DSPとソフトウェアで実現可能)、音楽を掛けながらでも車に命令を発する機能もデモされた。大音量で音楽を流しながら普通の声で「Open all window.」という命令を認識するデモだった。

通信モジュールは4G対応で、動画ダウンロードも映画1本が数十秒で可能というデモも行った。ディスプレイは4K対応とのことで、5G対応通信モジュールは開発中。

クアルコムでは、これらのシステムをSoC(System on a Chip)で実現できるとして、このデモカーを製作したという。SoCとは、ECUのメインプロセッサに加え、GPU(グラフィックプロセッサ)、DSP(信号処理プロセッサ:音声合成・認識他)、メモリ、通信モジュール(Wi-Fi、Bluetooth、RF)など複数のシリコンデバイスをワンチップで構成したものだ。SoCを製造するには、単に半導体をまとめるだけでなく、これらを統合的に動かすソフトウェアや開発環境も必要となるが、クアルコム(他SoC提供メーカー)は、これらをOEMメーカー、サプライヤー向けに用意している。

コネクテッドカーの車載端末は、(少なくとも)メーカーごとに統一・標準化が進むものと思われる。端末プラットフォームを共通化すれば、車種ごとに端末やソフトを開発せず、グレードごとの機能はインストールするソフトウェアで切り替えることができるからだ。ちなみに、デモカーのSoCに実装されたソフトウェアはAutomotive Linuxで開発されているそうだ。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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