【自動車パーツ豆知識】ショックアブソーバーの交換、気になる予算や注意点は?

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【自動車パーツ豆知識】ショックアブソーバーの交換、気になる予算や注意点は?
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サスペションは日本語で書くと懸架装置、つまりタイヤを懸け(架け)ている装置のことだ。

おもな構成パーツはアーム(荷重を受け止めるとともに位置決めをする部分)、リンク(荷重は受け止めず位置決めのみをする部分)、バネ、ショックアブソーバーなど。ショックアブソーバーはサスペションを構成するパーツのなかでも、もっともなじみ深いパーツと言ってもいい。

タイヤが上下に動いたときに、その動きをやわらげる働きをしているのがスプリングだが、スプリングだけでタイヤの動きを受け止めると、いつまでもボヨンボヨンと動き続けてしまう。トランポリンの上でなかなか体が安定しないようなものだ。そこでショックアブソーバーという装置でボヨンボヨンとした動きを抑える必要が出てくる。ショックアブソーバーは筒のなかにオイルが入っていて、そのオイルが小さな穴を通るときに発生する抵抗によって、ボヨンボヨンとした動きのエネルギーを熱に変えて消費している。どのくらい抑えるのか? どの部分(周波数)を中心に抑えるか? などがショックアブソーバーの特性となっている。

価格、工賃はどのくらいかかるのか

サスペションのチューニングにはいくつかのアプローチがあるが、一般的なものとしてはスプリングやショックアブソーバーを交換するとフィーリングが大きく変えることができる。チューニングの方向性としては硬くすることが多いが、最近は乗り心地を重視して柔らかくする方向性のものも登場してきている。バネだけ交換する、ショックアブソーバーだけ交換する、両方交換する…という3つのパターンが考えられるが、最近の傾向としてはバネだけというパターンはあまり歓迎されていない。

ショックアブソーバーは国内では自動車メーカーにも納入しているKYB、ショーワ、日立オートモーティブといった自動車部品サプライヤーから、TEINやHKSといったチューニングパーツ系メーカー、海外ではビルシュタイン、ZF ザックス、オーリンズ、テネコ ランチョなどの多くのメーカー、ブランドが存在している。また、TRDやニスモ、Mテック(無限)といったメーカーワークス系もある。そうしたなかでどのブランドのどんなショックアブソーバーを選べばいいか? を決めなくてはならないが、まずは現実的な部分から考えるのがいい。つまり予算だ。

“金に糸目を付けない”なら、ネットや雑誌で気に入ったものを見つけるか、ショップのすすめるままに装着すればいいが、そうでないならまずは予算立てを行うべきだ。ショックのみの場合、KYBの「ニューSRスペシャル」やテインの「エンデュラプロ」などのリーズナブルなモデルだとパーツ代金は1台分で6万円程度(車種によって異なる)から。工賃は安いショップだと1台分2万円程度なので、予算は8万円くらいがもっともリーズナブルなパターンとなる。もっともリーズナブルなショックアブソーバーは、ノーマル形状と言われるタイプで、車高を調整することはできない。車高を調整するためには、車高調整式いわゆる車高調(しゃこちょう)を選ばなくてはならない、車高調の場合はスプリングとセットとなっている場合が多く、パーツ料金は10万円程度から(車種によって異なる)と考えたい。工賃については、同程度と考えていいだろう。高級なショックアブソーバーの場合は、パーツ代だけで40万円程度のものもある。

交換時に注意すべきポイントは?

またショックアブソーバー交換時にはホイールアライメント調整という作業も行ったほうがいい。ホイールアライメントというのは、静止状態でホイール(タイヤ)がどういう向きを向いているか? ということで、クルマごとに設計値がある。ショックアブソーバーを交換するとどうしてもホイールアライメントがずれるので、このホイールアライメントの調整が重要になる。ホイールアライメント調整は1万5000円程度からだが、これもショップによってまちまち。ショックアブソーバーやスプリングを交換した際は割引設定をしているショップもある。

イメージだけでショックアブソーバーの交換をしたり、ファッションとして車高を下げるためにショックアブソーバーの交換をするのももちろんありだが、走りの質をアップしようと考えているなら、経験豊富なチューニングショップやタイヤショップに相談するのがいいだろう。というのも、足まわりのチューニングはタイヤやホイールを含めたトータルチューンで考えることが大切だからだ。むやみにショックだけを変えるのではなく、足まわり全体をトータルでコーディネートしてこそよりよい方向へのチューニングが可能だ。そのときには、どれくらいの予算で、なにを求めるのかをしっかりと伝えることが大切。

購入から取り付けまでショップで行う場合はまず問題ないが、ネットで商品を取り寄せて、取り付けをショップに依頼するというやり方で気をつけてもらいたいのが、粗悪な類似品の存在だ。テインではそうした類似品の存在をweb上で明らかにし、注意を促している。ネットで購入する場合も、信頼のおけるショップやメーカー直販を選ぶことが無難な手段と言える。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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