VAIOは9月21日、ノートPCの新モデル6機種を発表した。個人向けの「VAIO S」シリーズ3モデルのほか、法人向けの「VAIO Pro」シリーズ3モデルを投入し、B2B市場でのシェア拡大を目指す。
冒頭挨拶に立った吉田秀俊社長は「今回2年越しでモバイルPCの新商品を投入できるのはVAIOが独立して3年、独り立ちして回復した証だ。今後VAIOが成長戦略に入るための要になる極めて重要な製品で、モバイル時代にふさわしい新製品だ」と強調した。
今回発表したPCは「いつでも、どこでも仕事を快適に」をコンセプトに軽量化したのが第一の特徴だ。一番小さい11.6型の「S11」は天面に東レのUDカーボンを採用することで、マグネシウム合金と同等の強度を保ちながら約30%の軽量化を実現し、約840gという重さだ。厚さも最薄部が約15mmと非常に薄い。実際に手に取ってみると、その軽さに驚くほどだ。
もちろん耐久性も折り紙付きで、90cm落下試験、150kgf加圧振動試験、ペン挟み試験、液晶ハウジング加圧試験、本体ひねり試験といった高い基準を設定した品質試験をクリアしているという。また、完全防水ではないが、キーボードに飲み物をこぼしてもすぐにショートして動かなくなる心配がない。実際にそのデモンストレーションが会場で行われ、150ccの水をキーボードに振りかけて5分経っても、PCは動いていた。
また、ビジネスの現場で求められるインターフェイス類も充実しており、SDカードスロットをはじめ、USB3.0端子3個、アナログRGB端子、HDMI端子、有線LANが内蔵されている。セキュリティ機能についても大幅に強化し、指紋認証センサーを選択できるほか、盗難を防ぐセキュリティロック・スロットを新たに標準装備した。もし盗難や紛失しても、遠隔でOSを含むドライブ内のすべてのデータを完全に消去できるそうだ。
そのほか、SIMフリーのLTE搭載が可能で、別途Wi-Fiルーターを持ち運ぶ必要も、デザリングする手間もなく、いつでもどこでも快適にオンラインできる。価格は10万4800円からとなっている。
「VAIOのPCは理想の品質を求め、主要な外装部品を優れた技術を誇る国内メートの協業により開発している。妥協のない精密なつくりを実現するために、重要な製造工程を長野県安曇野市にある本社工場で行っている」とPC事業部の林薫部長はアピールする。
ただ国内のPC市場はスマートフォンやタブレット端末の普及で個人向けのPCが低迷している状況だ。そんななか、VAIOは今回の新モデルで法人需要を取り込もうとしているが、果たして目論見通り行くのか要注目である。