【ハーレー ヘリテイジクラシック 試乗】旅の相棒としての資質は受け継がれた…青木タカオ

モーターサイクル 新型車
ハーレーダビッドソン 2018ソフテイルファミリー HERITAGE CLASSIC
ハーレーダビッドソン 2018ソフテイルファミリー HERITAGE CLASSIC 全 23 枚 拡大写真

「ノスタルジーに酔いしれているばかりでは、もう面白くない!」

そう言わんばかりのスポーティな走りを見せてくれた。アメリカ・カリフォルニアのワインディングでトコトン乗り込んだハーレーのロングセラーモデル『ヘリテイジクラシック』だ。

従来の同モデルは、1950年代からタイムスリップしてきたかのようなトラディショナルなスタイルと落ち着いたハンドリングで、スポーティさという点では目をつぶってきた。

ところがどうだ、この新型は。素直なハンドリングで、車体も軽やかに動く。エンジンはよりパワフルになっているし、ライディングがアツイのだ。

そのワケは、メインフレームとそこに搭載するVツインエンジン、すべてを新しくして生まれ変わったからである。

まずスタイルは、伝統を感じつつも新しさで満ちあふれたものになった。ツートーンのウインドシールドやLED化されたヘッドライト、精悍さを増したサドルシート&レザーバッグ、現代に受け継がれたクロススポーク仕様のホイールとディープフェンダーなど、古き良きハーレーの匂いをプンプンさせながらも、モダンでダークな佇まいとなっている。

新設計のメインフレームは運動性能を飛躍的に向上するモノショック式リアサスペンションを採用し、フロントにも高性能なSHOWA製デュアルベンディングバルブフォークをセット。

エンジンは最新の「ミルウォーキーエイト」を積み、『ヘリテイジクラシック』の場合は排気量1745ccのベーシックモーターのほか、さらに強力な1846ccも選ぶことができる。

旋回性を向上して、山岳路での走りを気持ちの良いものにしたが、このモデルが得意とするのはなんと言っても高速道路。65mph(約105km/h)が制限速度のカリフォルニアのハイウェイを流すと、クルージング力が飛躍的に向上していることが分かった。

ただひとつ残念なのは、このモデルを含む新型ソフテイルではシーソーペダルの装備が見送られていることで、シフトアップをカカトではなく、ツマ先でしなければならない。

身体はウインドシールドに風圧から守られ、ゆったりとした気分のまま速度をどんどん上げていける。大きな段差を乗り越えても、高性能になった前後サスペンションが衝撃をしっかり吸収し、車体は落ち着いたまま。

エンジンは「まだまだいくらでも出ます」という感じで、オートクルーズコントロールをセットすれば、このままアメリカ大陸横断の旅も夢ではないだろうなと想像してしまうほど、安定してハイスピードを保つ。

いつまでも、この鼓動に揺られて走り続けたい。スタイルやライディングのレベルは現代的になってはいるものの、旅の相棒としての資質は受け継がれ、ロングツーリングに想いを馳せずにはいられない。新しくなったけれど、『ヘリテイジクラシック』の魅力は変わっていないのだ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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