【ボルボ V90クロスカントリー 試乗】かつてのFRボルボを思わせるフィーリング…島崎七生人

試乗記 輸入車
ボルボ V90クロスカントリー T6 AWD SUMMUM
ボルボ V90クロスカントリー T6 AWD SUMMUM 全 7 枚 拡大写真

最低地上高が標準の『V90』より55mm高い210mmにセットされ、「T6」同士の比較でトレッドも前+35mm、後+25mmの拡大。乗り出しで829万円の価格だから当然とはいえ、実車の走りは実に「優雅」のひとことだ。

試乗車の「T6」のポイントのひとつはエンジンにある。「T5」と同じ2リットルの4気筒ながら、こちらはターボ+スーパーチャージャーに補機類が強化され、320ps/40.8kgmのスペックをモノにしており、T5(254ps/35.7kgm)の性能差は明らか。とはいえそもそもT5の動力性能でも十分だから、ならばT6はよりダイナミックなのか…と気構えたくもなる。が、実際には予想とは違いオトナのチューンに仕上げられた印象だった。

もちろん高速走行時の加速の切れ味、レスポンスのよさは実感できるところだが、プラスα分の動力性能を余裕代として上乗せしている印象。なので、低速ではトルクが増した分、2000rpm以下でも力強くよりゆったりとしているし、エンジン回転を上げていくと、十分な速さを見せつけながら、なめらかな加速につなげている。走行モードがたとえ“エコ”でも、その持ち味がキチンと確保されているのもいい。思い出したのは、かつてのFRの頃のボルボの『960』など上級モデルの、人の深呼吸にも呼応するような優雅で伸びやかなパワーフィールなのがいい。

乗り味は、20インチの大径タイヤを履くこともあり、少しだけ低速で足のゴツつきを感じる。ただし距離が伸びクルマがこなれてくればその印象も緩和されるはずだ。やや高めの着座位置だが安定した挙動に助けられ、トレッド拡大分もあり安心感のとても高いクルマに乗っている…そんなクロスカントリーらしい乗り味は今も変わらない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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