損保の変化、日本で初めて、アクサ損保が“心のケア”に取り組んだ理由

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アクサ損害保険と公益社団「顔と心と体研究会」の共催で開催された「顔と心と体のケア シンポジウム」
アクサ損害保険と公益社団「顔と心と体研究会」の共催で開催された「顔と心と体のケア シンポジウム」 全 1 枚 拡大写真

アクサ損害保険は23日、都内で『顔と心と体のケア シンポジウム』を開催した。交通事故などで起きる外面的な傷や心の問題について損保会社が向き合う国内初の試みだ。

保険会社は、物損や傷害について、入院日数や受傷の程度によって程度の応じた保険金を支払うことが仕事で、契約者との関係は通常はそこで終わる。事故の被害者が退院後も悩み続ける治療や手術の傷あとなど外見上の変化やメンタルの問題は、損保会社としての責任を果たした後の、いわば守備範囲の外の出来事だった。なぜ、同社はその部分に踏み込んだのか。

損害サービス本部長の原田保執行役員は聴衆を前に「アクサはペイヤー(保険金支払者)から契約者に信頼されるパートナーになる」という変化を強調した。保険金を支払うだけの会社から契約者の社会復帰を支えて、その後の人生をよりよくするために寄り添う会社となる、というわけだ。そのため損害を受けた契約者が、どんなサポートを必要としているかを考えた結果、初めて退院後の「顔と心と体のケア」に行き着いたというわけだ。

同社の方針転換の背景には、社会環境の変化もあるという。自動車保険の支払いは、労働災害の逸失利益をもとに考えられた。後遺障害の考え方も、事故前後を比較して、どれだけ労働力が損なわれたかが焦点で、手術や火傷のあとなど外見上の変化は、労働力の低下とは認められにくかった。それらの考え方が判例などを通して、逸失利益として認められるようになっていく。

また金融庁も保険業界に対して「顧客本位の業務運営 フィデューシャリー・デューティー」を、強く求めるようになった。損保業界は、保険金の支払い請求について審査する「損害査定部」や「損害調査部」という名称を変えて、最近では「損害サービス部」など、契約者の最善の利益を図る方向に大きく方向を変えた。

今回のシンポジウムは、リハビリメイクで知られるかづきれいこ氏が理事長を務める公益社団「顔と心と体研究会」との共催だ。講演には同市のほか、16才のバイク事故で重度熱傷41度という大やけどを負って生還した古市佳央氏(オープンハートの会)が長い治療経験を振り返り「事故が起きたから終わりと思わないでほしい。どんな状況でもどんな人生でも楽しく生きることができる」と、訴えた。また、形成外科学の一人者である小川令主任教授(日本医科大学)が「(形成外科学は)命が助かる時代になって、生活の質の向上を目指すためにある」と、その最先端の成果を紹介するなどした。

《中島みなみ》

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