【インタビュー】「ITシステムの外販が第三の柱になっている」…カーセブンディベロプメント 井上社長

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カーセブンディベロプメント 代表取締役社長 井上貴之氏
カーセブンディベロプメント 代表取締役社長 井上貴之氏 全 8 枚 拡大写真

中古車買い取りと販売のフランチャイズチェーン「カーセブン」を展開するカーセブンディベロプメントは、今年7月、本社オフィスを日本橋から大崎に移転した。IT人材の採用強化が狙いのひとつだという。カーセブンのビジネスに起きている変化について、社長の井上貴之氏に話を聞いた。

----:カーセブンと言えば、中古車流通のフランチャイズビジネスというイメージですが、なぜIT人材の採用を強化するのでしょうか。

代表取締役社長 井上貴之氏(以下、敬称略):つい6年ほど前までは、フランチャイズビジネスの収益、直営店の収益、この2つの柱しかなかったのですが、いまは営業支援システムの外販が第三の柱になってきています。

営業支援システムは、もともと自社で使うために作っていた営業管理や在庫管理、査定システムなどがあります。これらを同じような業態の他社に提供しているので、一般的な営業支援ツールよりもよほど競争力があります。

カーセブンで使っているシステムを外販できるようになったもうひとつのポイントは、バックエンドをAWS(アマゾンのクラウドサーバーサービス)にしたことです。固定のサーバーを自前で用意して運用するより、使う分だけ柔軟に調達できるAWSを利用することで、コストを削減できました。

----:外販している営業支援ツールはクラウド化しているのですか?

井上:そうです。例として、契約書をペーパーレス化とクラウド化しました。以前は契約書を紙に印刷して、製本してハンコを押してもらって…とやっていましたが、今は、画面上でお客様にチェックしてもらって、利用するID数を入れて送信ボタンを押すと、請求書や約款がメールで届きます。契約書も電子化しているのでタブレット上でサインしてもらう、という手順です。

カーセブンでは毎月1000社以上に請求書を発送しますが、すべて電子化してメールでお送りしています。自社で使うサービスをどんどん改善していくと、それが競争力になっていくという構図です。

----:それが優位性になっているのですね。

井上:その通りです。我々が使って便利なものを作り、それを売っていく。利用料収入が得られる。それを投資して改善するというサイクルができています。例えば、車検証のQRコードを読んで査定するシステムを最初に出したのは当社です。収益を投資してサービスを改善し続けています。さらに、900社以上が当社の査定システムを使っており、その顧客基盤がさらにビジネスの相乗効果を生んでいます。

そもそも当社のサービスは自社のために作っているものです。システム開発会社が作ると、初期費用がかかり、保守費用もかかり、検収が必要ならその経費もかかる。ユーザーサポートの仕組みも要るかもしれない。つまり利用料はすべて発生したコストに充てられる構造です。

その点我々は、もともと自社用のツールですので、初期開発も、もともと自分たちで使うものなのでかからない。利用料収益を改善に回すことができる。つまり、我々のようにプレイヤーでもある企業が、自社で利用しているサービスを外部に売っていくということは、きわめて合理性があると考えます。

----:競合のサービスは、そうでないところが多いのですか?

井上:プレイヤーが自ら自社のツールを外販しているところはありません。その点がカーセブンのユニークな強みになっています。我々も店舗に行って、営業マンの仕事ぶりを観察し、システムの改善のヒントを得ています。さらに営業支援だけでなく、これからは、店舗のバックオフィスの合理化を追求していかなければならないと思います。

これまでサービスの改善を進めてきたのですが、それがふと気づいたら、フランチャイズチェーンの新規獲得につながっていました。加盟店募集している中古車流通チェーンは他にもありますが、当社のフランチャイズになれば、強力な営業支援ツールを使えるので、カーセブンを選んでいただく結果につながっていると考えています。

----:営業支援ツールを外販する先は、今後近い業態の会社に広がっていくのでしょうか?

井上:カーセブンは、車検ビジネスに進出する気はありませんし、板金も手掛けません。ですが、車検屋さんも板金屋さんも、ガソリンスタンドだって、彼ら自身がビジネスを拡げるためには、ここからは間違いなく自動車流通に着手せざるを得ないんですね。その方々を、当社の営業支援ツールではお手伝いしていきます。

カーセブンのホームページはこちら

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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