【ヤマハ MT-09 試乗】2気筒とも4気筒とも異なる独特のフィーリングだ…佐川健太郎

モーターサイクル 新型車
ヤマハ MT-09
ヤマハ MT-09 全 15 枚 拡大写真

『MT-09』はクロスプレーンコンセプトに基づいて開発された3気筒エンジン搭載のスポーツネイキッドモデルだ。2014年に発売された初代は従来のネイキッドの概念を覆すエキセントリックな外観とアグレッシブな出力特性が特徴で、その軽量スリムな車体と瞬発力を生かした走りは他のネイキッドの追従を許さない俊敏さを持っていた。

そして今回試乗したのはフルモデルチェンジを果たした2017モデルである。変更点としては、フロントフェイスを中心とした外観のリニューアルに加え、吸排気系の見直しによる出力向上(110ps→116ps)および、クイックシフターとトラコン、アシスト&スリッパークラッチを採用するなど、現代に相応しい先進的な装備を身に付けたマシンへと進化している。

まず見た目だが、従来の単眼からLEDアイラインの入った2眼タイプに変更され、大きく印象が異なっている。獰猛な昆虫型生物のような顔つきは好みが分かれそうだ。跨ってみると、スリムな車体とストローク量が豊富な前後サスペンションのお蔭で見た目以上に足着きは良い。車重も193kgとこのクラスとしては軽量で取り回しも楽だ。

このマシンの一番の魅力はやはりエンジンだろう。トラクション性能に優れる「クロスプレーンコンセプト」由来の並列3気筒846ccエンジンは、各気筒が等間隔に爆発する120度クランクによる滑らかな回転が特徴。それでいてザラッとした鼓動感とともに路面を蹴り出すタイヤの手応えと官能的なサウンドも同時に味わえる。2気筒とも4気筒とも異なる独特のフィーリングだ。

エンジン特性を3つのモード(A/STD/B)から選べるD-MODEはボタンひとつで設定を変えられて使いやすく、モード毎のスロットルレスポンスの違いも分かりやすい。街乗りでは最も穏やかで扱いやすいBモードが気楽に乗れるだろう。最もシャープなAモードは腕に自信ありのライダー向けだ。アウトプットは相変わらずアグレッシブだが、より調律されて刺々しさはなくなった。

フットワークはふわりと軽く、丁寧なスロットル操作だけ気を付けていればスムーズで気持ちの良いコーナリングを楽しめる。トラコンのおかげで立ち上がりでも開けやすくなった。また、ラジアルマウント式キャリパーのフロントブレーキは軽量な車体と相まってすこぶる強力だが、新型ではフロントフォークに圧側ダンパーが付くなど減衰力も強化されているので、従来モデルに比べて減速時の車体姿勢に安定感が増している。ABSが標準搭載されているのでパニック時にも心強い。

本来の元気ハツラツな走りに加えスーパースポーツ並みの電子制御を手に入れて、ますます完成度を高めた新型MT-09。大型バイクで軽快かつスタイリッシュに街乗りやショートツーリングを楽しみたい方におすすめしたいモデルだ。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  2. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  3. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  4. 朝までこの恐怖に耐えられるか?…三和交通タクシーでいく心霊スポットツアー2025【夏休み】
  5. シートに座ると自動で送風開始、取り付け簡単「クールカーシート」2モデルが発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
ランキングをもっと見る