決着したはずの“10・22出否問題”が混迷…ガスリーはF1米国戦でなく、スーパーフォーミュラ王座めざし鈴鹿参戦の方向

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ガスリー本人もあずかり知らぬところで、問題が混迷した。
ガスリー本人もあずかり知らぬところで、問題が混迷した。 全 6 枚 拡大写真

7日の時点でF1チームのトロロッソが「アメリカGPにはクビアトがガスリーとともに参戦」とリリースに記した件が、その後まさかの混乱を呼んだ。12日時点では、ガスリーはアメリカGPと同日程のスーパーフォーミュラ最終戦に参戦して王座をめざす可能性が強まっている模様だ。

日本GP開催中の7日にトロロッソは、「カルロス・サインツJr.は次戦アメリカGP(オースティン、10月22日決勝)からルノーに移る」との旨を発表した。そしてそのプレスリリースには「アメリカGPでは(サインツに代わって)ダニール・クビアトがピエール・ガスリーとともにトロロッソをドライブする」との一文が明記されていた。

今季のトロロッソには、もともとサインツとクビアトのコンビで戦っていた経緯がある。そしてマレーシアGP~日本GPではクビアトに代えてガスリーを起用。サインツの来季ルノー移籍は既に決まっていたが、彼の早期離脱によってクビアトがシートに戻る格好の人事となった。

一方、ガスリーの今季主戦場はスーパーフォーミュラ(SF)。彼はホンダエンジン搭載のチーム無限から今季のSFに参戦し、最終戦を残して首位から0.5点差のシリーズ2位に位置している。だが、前述の一文によって、ガスリーはアメリカGPと同じく10月22日決勝の日程で開催されるSF最終戦鈴鹿は必然的に欠場が確定、タイトル挑戦権を手放すことになった(既報)。

ところが、決着したはずのこの“ガスリー10・22出否問題”は8日以降も動き続けた。国内外のモータースポーツ専門サイト等で動勢が断続的に報じられることとなり、そのなかで7日のトロロッソのリリースの一文「ガスリーがアメリカGPを走る」は、チーム広報レベルでの“至極当然の結論”からくる早合点だったことが明らかになってくる。

調整は続いていた。ガスリーは、トロロッソを系列チームとするレッドブルのジュニアドライバーであり、彼の参戦レース決定権は基本的にレッドブルが有している。トロロッソが来季からホンダのパワーユニット供給を受けるチームとはいえ、ホンダ側が「SF最終戦出場を」とトロロッソ(レッドブル)側に協力要請する立場にはないとも見られていたが、実際にはホンダも自陣唯一の今季SFタイトルコンテンダーであるガスリーを10・22は鈴鹿に、という調整努力を続けていたようなのだ。

問題の発端は早合点だったが、その後の“難航”の理由は、アメリカGPでの“ガスリーの代役”とされる。サインツのルノー先行移籍がなければ、おそらくはサインツと、SF最終戦に出るガスリーの代役としてのクビアト復帰、というかたちでアメリカGPに参戦したであろうトロロッソの当初プランが狂い、サインツ離脱に対する代役にクビアトを再起用する格好になったため、今度はガスリーの方のシートを埋める必要に迫られた、という理屈だ。

そしてアメリカGPでのトロロッソのドライバー問題も噂レベルながらメドが立ちつつある模様で、日が進むにつれてガスリーのSF最終戦鈴鹿参戦が濃厚とされるようになってきた。日本時間13日の夕刻時点で未だ正式発表はないが、国内レース関係者からもその旨の話が出てきている。

ガスリー本人の意思で決まる問題とはいえず、彼本人にとっては板挾みの辛い状況ともいえるが、2レース制で開催されるSF最終戦「第16回 JAF鈴鹿グランプリ」への参戦が決まれば、ガスリーは王座挑戦権を有する8人中唯一のホンダ勢ドライバーだ。ポイント首位の2015年王者・石浦宏明(セルモインギング)を筆頭に7人の候補が居並ぶトヨタ勢を相手に、SFタイトル獲得を目指すこととなる。

《遠藤俊幸》

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