機械学習やIoTへの取り組みを紹介する技術セミナー…デンソーが開催

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DENSO A.I. TECH SEMINAR 2017
DENSO A.I. TECH SEMINAR 2017 全 6 枚 拡大写真

デンソーは10月14日、「DENSO A.I. TECH SEMINAR 2017」と題し、人工知能やIoTに関する先端技術の講演会を開催した。会場には、機械学習や画像認識に知識がある一般客が招かれた。週末にもかかわらず、講演会には200名ほどが足を運んだ。

最初に登壇したのは、日本のAI研究をリードする理化学研究所革新知能統合研究センター センター長兼東京大学大学院複雑計算科学分野教授の杉山将氏。「限られた情報からの機械学習」というタイトルで、機械学習の理論とアルゴリズム開発の歩みを紹介しながら、最先端の成果を紹介し、「世間は深層学習とビッグデータで盛り上がっているが、機械学習はそれだけではなく、学習法とモデルの組み合わせであり、学習法の研究をすることが非常に重要だ」と説いた。

続いて登壇したのは、中部大学機械知覚ロボティクスグループの藤吉弘亘教授。動画像処理、パターン認識・理解などの研究を手掛けている。テーマは、「分解して高速化 - SVMからDNNのアクセラレーション -」。

「画像認識の処理を早くする研究に取り組んでいる。画像を分解して高速化、高精度化し、映像データから、対象物が何であるかを高速に識別することができるようになった」と成果を紹介した。

続いて、新しいモビリティ社会に関するトークセッションが行われた。パネリストは、人工知能研究の第一人者であるカーネギーメロン大学ワイタカー記念全学教授兼デンソー技術顧問の金出武雄教授と、デンソー専務役員技術開発センター センター長の加藤良文氏。モデレーターは、デンソー 先端技術研究所所長の川原伸章氏。

セッションでは主に自動運転の実現に向けた技術開発の課題が議論された。加藤氏が「センシング技術は進化してきた。次は、センシングしたデータをどう判断するか。機械で果たしてそれができるようになるのか」と投げかけると、金出教授が「できないわけがない、というのが私の信念。自動運転の実現は、日本の産業のためだけではなく、人のため。事故を無くすため」と応えた。加藤氏は「走行データを各社それぞれ持っており、フォーマットも違う状況。それを共有してスーパーAIドライバーを作りたいという想いがある」とした。

後半は、デンソーのエンジニアによる最先端の取り組みが紹介された。ひとりめは、DP-Mobility IoT推進室 サービス技術開発課 課長の梶大介氏。「データ化学が作る新しいクルマ社会」というテーマで、数理シミュレーションによるビッグデータ解析の成果や、新しいモビリティ社会に向けた課題への取り組みを紹介した。「モビリティの社会課題解決のため、モビリティIoTプラットフォームの構築が必要。クルマ側のコンピューターも含め、一体化したサービスとして考えていきたい」と語った。

そして最後に登壇したのは、先端研究4部AI研究室AI研究1課 担当係長の有江浩明氏。「自動運転に向けた End To End 深層学習」というテーマで、ニューラルネットによる自動運転の研究成果を中心に発表した。

「End to End深層学習に寄る自動運転は、周囲と協調できる自動運転車を目指し、ステアリングとアクセルの同時制御の学習によって安定した走行ができた。今後も安全安心なモビリティを実現する自動運転の技術に取り組んでいきたい」と抱負を述べた。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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