ドイツの特殊ガラスメーカー・ショットの日本法人、ショット日本は18日にメディア向けの説明会を開催。自動車インテリア用間接照明や超薄板ガラスの活用可能性などを紹介した。
ショットはガラスメーカーとして130年以上の活動実績を持ち、現在は特殊ガラスやガラスセラミックスを中心に手がけ、家電製品やモバイル機器、医療器具など広範囲に事業を展開。自動車分野ではサプライヤーとして20年以上にわたる納入実績を持っている。今回の説明会では、LEDを用いた2種類の照明と超薄板ガラスが、インテリアデザインの可能性を拡大する素材として提案された。
照明で紹介されたのは『SideLight』(サイドライト)と『MultiLight』(マルチライト)。 サイドライトはガラスファイバーのチューブが発光する線状の間接照明で、フレキシブルかつ曲げ半径が小さく、長さや曲率にかかわらずカラーシフト(色変化)せず均一に発光するのが特徴。
低価格でレイアウト自由度の高いことが魅力で、色を変化させて車内の雰囲気を変える演出装置としての活用例もある。すでに欧州メーカーをはじめアメリカや中国のメーカーの車両インテリアに採用されているという。
いっぽうマルチライトは新商品。スポット照明やサイドライトなどの複数のケーブルを、1つのRGB光源に統合するというものだ。電子部品点数を削減し、設置やメンテナンスのコストも低減させることで低価格を実現しつつ、搭載自由度を高めることでインテリアデザインの可能性を拡大する。
ライティング・イメージング事業部の吉武幸成マネージャーは「従来のアンビエント(雰囲気)ライトと呼ばれているような製品は、車内の雰囲気を変えるだけでした。しかし今後は自動運転が普及するにつれ、ドライバーと車両のコミュニケーションツールとして使えます」と説明する。「色を変えることで、車両の状況を乗員に知らせるという機能性を持たせることも、需要としてあるのではないかと考えています」とのことだ。
またモバイル機器に使われている超薄板ガラスは「自動車用としても、今後は需要が増えてゆくと予想しています」と説明するのは、技術営業部の神田博司ディレクター。化学強化が可能で曲面にも対応できるため、インテリアデザインの可能性を拡大するという。
「今後のインテリアは、インタラクティブなディスプレイに囲まれてゆくということが予想されます。そうなったとき、印刷も可能なガラスを表面にまとい、シームレスでディスプレイが一体化したようなトリムデザインを実現すれば、よりラグジュアリーな雰囲気を付加するといったことができます」(神田ディレクター)。
続けて「自動車のインテリアは、これまでは運転という機能が最重要視されてきました。今後は自動運転の技術が搭載され、ネットにも繋がることでよりインタラクティブな、場合によってはリビングルームにいるかのような快適性が、ますます重視されてゆくようになるのでは」と予測を語る。
自動車の姿は自動運転技術や電動化などで、今後は大きく変わってゆくことも予想される。そこに向けて「照明やガラスパネルで、新しい提案を続けていきたいと考えている」とのことだ。