【WTCC 日本ラウンド】ホンダチーム、母国レースでボルボの追撃をかわせるか!…ドライバーインタビュー

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道上龍選手(左)とノルベルト・ミケリス選手
道上龍選手(左)とノルベルト・ミケリス選手 全 9 枚 拡大写真

10月27日から3日間、いよいよ世界ツーリングカー選手権(WTCC)の日本ラウンドが開催される。現在、マニュファクチャラーズポイント1位はホンダ。わずか5ポイント差でボルボが追う展開で、ホームグラウンドであるツインリンクもてぎにおいての熱戦が繰り広げられようとしている。

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市販ベースのマシンがしのぎを削る

WTCCは、TC1という車両カテゴリーで戦うレース競技。現在エントリーしている車両は『シビック』、ボルボ『S60』、シトロエン『C-エリーゼ』などをベースとしたWTCC仕様のレーシングカーだ。エンジンはGREと呼ばれる1.6Lのターボエンジンが使われる。最高出力は400馬力前後と言われている。

ドライバーズポイントも1位から3位までの点差が1.5ポイントとかなりの混戦状態となっている。1位はボルボチームのテッド・ビョーク選手(200.5ポイント)。2位がホンダのティアゴ・モンテリオ選手(200ポイント)、3位がホンダのノルベルト・ミケリス選手(198.5ポイント)。シリーズはもてぎを入れてあと3戦。どのドライバーも1点も落とせない展開だ。

WTCCは予選、オープニングレース、メインレースと3つのレースの順位ポイントで争われるが、メインレースの優勝ポイントは30点。4位の選手もトップとの差は30ポイント以内なので、もてぎや残る2戦(マカオ、カタール)で波乱があればだれがシリーズチャンピオンになってもおかしくない。

その意味で、非常に白熱したレースが期待できるWTCC レース・オブ・ジャパンだが、見どころは他にもある。WTCCは他のレースカテゴリよりも競技中の接触に対するペナルティが緩い。つまり、コーナリング中のサイドバイサイド、インの奪い合いでクルマどうしがガンガンぶつかり合う非常にエキサイティングなレースという特徴もある。レギュレーションにより車両の性能は拮抗しており、サーキットではハイレベルなドライバーどうしのバトルの見どころ(オーバーテイクポイント)は限られる。しかし、WTCCでは悪質なものや故意でなければぶつかり合いは容認されるため、コース上のどこでも文字通りのバトルが見られるわけだ。

ホンダのドライバー、意気込みは?

週末のレースを控えて、ホンダチームのノルベルト・ミケリス選手(Castrol Honda World Touring Car Team)と日本人ドライバーとして参戦している道上龍選手(Honda Racing Team J.A.S.)にインタビューすることができた。道上選手はSUPER GTなど国内トップカテゴリーで活躍した選手。近年はチーム監督などレースマネジメントに活躍の場を移していたが、昨年のスポット参戦から2017年は再びドライバーとしてレースを追っている。

まず、ミケリス選手にツインリンクもてぎとの相性やレース前の意気込みなどを聞いてみた。

「もてぎはコースレイアウトも気に入っているし、過去のレースでもポールポジションをとったり、オープニングレースで1位をとったり結果も残せているので相性のいいコースなんだ。今回のレースでは、まずチームへの貢献を考えてとにかくポイントをとることが目標。その中で表彰台、できれば1位を狙いたいね」。

どんなレースになるか、気になる点はあるか、という質問には、

「ボルボチームは強敵なので、非常にチャレンジングなレースになると思う。もてぎでのレースでは、最大重量のウェイトを積まなければならないのと、コース自体がハードブレーキングが必要なポイントが多いので、とにかくテッドより前にでることを考えるよ」

と答えてくれた。

車両の仕上がりについてはどうだろうか。

「2017年にシーズンイン前、ウィンターテストで相当な改善を行った。フロントのダウンフォースも上がったし、中高速の伸びがよくなった。その分、コーナーコントロールがちょっと難しくなったけど、仕上がりはよいので楽しんでいる」。

WTCC独特の「コンタクト(接触)」についても聞いてみた。

「自分にとっては好みのスタイル(笑)。エキサイティングだし楽しめる。ただ、ルールはあるのでみんなフェアプレイで楽しんでいると思う。じつは、WTCCで強いのは、単に早いというだけでなく、コンタクトを含むレース中の駆け引きなんだ」。

次に道上選手にも、今回のレースへの意気込みから聞いてみた。

「もてぎは母国のコースでもあるし、たくさんのレースで走ってきたので自信はある。今年はトラブルが目立ったのでいい結果を出したいです」。

ひさびさのレースフル参戦ということで、慣れない海外コースを転戦してきたが、ようやく走り慣れたコースでの試合に期待も高まる。そんな道上選手がWTCCで好きなコース、相性がいいコースは、ドイツのニュルブルクリンク、ポルトガルの市街地を走るコースだそうだ。次戦の開催地であるマカオもF3時代に走っており、ここも好きなコースだという。

レースカレンダーでは、7月のアルゼンチンのあと10月の上海までレースのインターバルが長かったが、このように間が開くときはどうやってコンディションを維持するのだろうか。

「やはりレースに出ていないと感覚が鈍るので、スーパー耐久レースに参戦したり、カートにも乗ってました。もてぎのスポーツ走行や練習走行なども行きますよ」。

道上選手にもレース中のコンタクトについて聞いた。国内レースでは接触するシチュエーションは少ないと思うが、とくにやりにくい点や慣れないといった問題はなかったのだろうか。

「接触のペナルティが緩いというだけで、ルールがしっかりしているのであまり違和感はなかった。普通にレースをしている感じで楽しめますよ。ただ、バンパーを強くしたりボディワークは多少変わってきますね。チームには、そういった設計、補修を行う専門のスタッフがいるくらい」。

多くのカテゴリを経験している道上選手にとってWTCCはどんなレースなのだろうか。

「ツーリングカーとして、市販車両のボディや構造を残しながら、400馬力のターボエンジンで、FFという車の運転は、アクセルワークやブレーキングが難しい。パドルシフトのシーケンシャルギアだけど、マニュアルシフトですしね。ターボなのでNAとちがうレスポンスも楽しめるけど、すぐにホイルスピンするので、パワーバンドを維持するのもテクニックがいる」。

ニュルやマカオなどテクニカルなコースが好きという道上選手らしく、FFターボで400馬力というじゃじゃ馬のマシンコントロールもWTCCの魅力のひとつなのだろう。今週末の闘いに期待したい。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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