【アウディ Q5 試乗】クワトロの名は今も最高の売り文句…中村孝仁

試乗記 輸入車
アウディ Q5
アウディ Q5 全 16 枚 拡大写真

アウディ『Q5』が属するのはミッドサイズSUVと呼ばれる市場。驚いたことにこの市場、日本では2009年に年間で僅か1669台の販売しかなかった。それが2016年は4万2000台に成長しているのだから、各メーカー力が入るわけである。

【画像全16枚】

ただし、それが世界的視野に立つと、このクルマはコンパクトSUVになる。その立ち位置、いささか微妙だ。そんなわけで一体日本市場でのライバルは何?ということになるわけだが、サイズ的な話で行けば真っ先にボルボ『XC60』。そしてメルセデスだと『GLC』になる。同様にBMWは『X3』。メルセデスとBMWに関していえば、ドライブトレーン的にもこの2台が仮想敵。ジャガー『F-PACE』もまあライバルと言えるかもしれない。そんなライバルの中で、唯一FWDベースながら縦置きエンジンというレイアウトを採用しているのが、このQ5である。

この縦置きレイアウト、ボルボを除けばライバルはすべてそうだが、駆動ベースで言うとFWDベースなのはアウディだけ。他はすべてFRがベースだ。敢えてFWDながら縦置きエンジンを採用するのはアウディの拘りであり、ある意味ではVWとの差別化ともいえる。

もっとも、クワトロに乗ってしまうと通常はFWDであっても、フロントが滑り出せばすぐにリアにトルクを伝えるようになっているので、正直言えばベースがFWDであろうがFRであろうが、ドライブフィールにさほど違いが出るものではないと思う。

アウディがクワトロシステムと名付ける4WDシステムは、かつてメカニカル制御の非常に高度なものだった。それが電子制御の今、横置きFWD用と縦置きFWD用ではシステムそのものが違う。Q5に搭載される縦置き用は『A4クワトロ』と同じで、ギアボックスとディファレンシャルの部分にひとつづつ2つのクラッチを持ち、通常ギアボックスのクラッチを開放している場合は完全なFWDとして走るから、フリクションロスは最小限に抑えられ、これが燃費に好結果をもたらす。しかもアウディドライブセレクトを使って、積極的にドライバーがモード切り替えを行い、ハンドリングやトラクションの設定を行うことも可能だから、これはQ5の大きなアドバンテージだといっても過言ではない。

それにしても最近のモデルは手を使うことが多くなった。以前なら手はステアリングを握り、時々シフトレバー、時々ウィンカー、時々ラジオ…程度で良かったものが、今ではナビゲーションの操作に始まって、アウディの場合はMMIのコントロールもセンターコンソールのダイヤルとその周辺につくスイッチ類で行う。さらにそのダイヤルの前には新たにタッチパッドが設けられて、ここで文字入力まで行えるから、右ハンドル車の場合、左手がステアリングに収まっている時間は以前より格段に少なくなった。

しかも、その操作はシフトレバーなどと違って間違いなく目線をそこに落とす必要があるので、却って危険。その分新たな安全支援システムが装備されたといえばある程度は納得出来ようが、以前にも増して頭を使う必要があるのは、純粋にドライブが楽しめなくなる一つの原因ではないかと思う。まあ、便利にはなっているが…。

相変わらず、アウディの走りはカッチリとしていて、気持ちよく滑るように走ってくれる。今回のモデルではまだエンジンは2リットルTSFIの1つだけ。先代は3リットルモデルもあったが、今はこれだけだ。性能的には不満はない。と言っても、それがライバルと比較して優れているともいえない。まあ、標準的である。

少し不満を持つのは内装の仕上げ方。現行モデルは内装の加飾に基本的にアルミなど金属を用いているのだが、例えばドアハンドルの前方。ドライバーズシート側はそこにシートメモリーなどが配されているが、それのない助手席側は無塗装のプラスチック。これだとまるでVWのクォリティーである。

やはり700万円を超えるクルマの内装クォリティーではないと思ってしまう。この部分は残念ながら最大のライバルともいえる最新のボルボXC60に負けてしまう。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来39年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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