都市交通システムの売込みを重点的に…国土交通省が鉄道の海外展開戦略をまとめる

鉄道 行政
2019年開業を目指す「マカオLRT」。マカオ政府から受注したAGTシステムで、三菱重工業が車両158両を受注した。このような都市交通システムは日本が優位に立てる分野とされ、鉄道の海外事業における重点項目のひとつとなっている。
2019年開業を目指す「マカオLRT」。マカオ政府から受注したAGTシステムで、三菱重工業が車両158両を受注した。このような都市交通システムは日本が優位に立てる分野とされ、鉄道の海外事業における重点項目のひとつとなっている。 全 1 枚 拡大写真

国土交通省は10月31日、国のインフラシステム輸出戦略に基づく、鉄道分野の海外展開戦略を策定したことを明らかにした。

今年5月に決定したインフラシステム輸出戦略は、「電力、鉄道、情報通信、医療、宇宙、湾岸、空港等の主要産業又は重要分野における所要の海外展開戦略を策定すること」としたうえで、2020年におよそ30兆円のインフラシステムを受注することを目標にしたもので、国土交通省では経済産業省と連携して、鉄道分野における海外展開戦略をまとめた。

これによると、堅調に推移している鉄道の輸送人員や車両、車両部品の国内需要は、今後の人口減少を踏まえると頭打ちの傾向は否めないが、海外では、アジアや西欧、北米を中心に年間約24兆円規模の市場が存在するため、それに応じた事業展開が必要としている。

しかし、海外市場では、鉄道事業の経営統合を果たしたアルストム(フランス)やシーメンス(ドイツ)といった欧州メーカー、中国の中車などが台頭しており、世界最大の車両メーカーである中車は、日本のメーカーと競合するケースが目立っている。

国内メーカーは、近年、アジアを中心に受注を獲得しているものの、2015年度における世界の鉄道メーカーの売上高を見ると、中車が2兆5900億円と他を圧倒。これにシーメンスとアルストムの事業連合が1兆7600億円と迫っているのに対して、日立製作所が3500億円、川崎重工業が1500億円と大きく立ち後れている状況だ。

この状況を受けて、品質の高さや故障・欠陥の少なさ、納期を遵守する気風、低いライフサイクルコストという、国内メーカーの強みを活かしつつ、生産能力の拡充やノウハウの集積などを進める必要があるとしており、インフラのみならず、保守や運行の参画・支援、駅周辺開発などを含む「パッケージ型需要」に、官民一体で取り組むことも視野に入れられている。

また、AGT(自動案内軌条式旅客輸送システム)やモノレールといった都市交通システムは、日本が優位に立てる分野であることから、これらを重点的に売り込む必要もあるとしている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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