【ITS世界会議2017】磁気マーカーに自動運転支援で脚光…愛知製鋼が実証実験へ

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「第24回ITS世界会議」のJAPAN・パビリオン内に出展した愛知製鋼のコーナー
「第24回ITS世界会議」のJAPAN・パビリオン内に出展した愛知製鋼のコーナー 全 9 枚 拡大写真
トヨタグループの特殊鋼メーカーである愛知製鋼は、カナダのケベック州モントリオール市で開催された「第24回世界会議2017」に初めて出展。会議のテーマであるスマートシティ実現に向け、「MIセンサ」を活用した「磁気マーカーによる自動運転支援システム」を紹介した。

愛知製鋼が会場内で披露したのは、路面に埋め込むか貼り付けた磁気マーカーをガイドとして走行する、自動運転支援システムだ。

磁気マーカーの一つは円柱状で道路に埋め込むタイプで、もう一つは路面に貼り付けるタイプだ。最大の特徴は、このマーカー自体はきわめて微弱な磁力しか備えておらず、道路上に設置しても外部に大きな影響を与えないことにある。

微弱な磁力であるため、重要となるのはその磁力を拾うためのレシーバーの性能だ。愛知製鋼は今回、MIセンサを活用した高感度レシーバーの開発に成功し、その技術を使った実証実験を11月11日から滋賀県東近江市にある道の駅「奥永源寺 渓流の里」において20人乗りのバスを使った実施する。このエリアはGPS電波が届きにくい山間にあり、磁気マーカーの効果が大きいとして選ばれた。

GPS不感地帯においては2m間隔で磁気マーカーを埋設。距離にして200mしかないものの、この区間は運転手不在のレベル4で走行。万が一のために助手席に運転手は乗車するものの、磁気マーカーに頼った自動走行を実施する予定となっている。

磁気マーカーを使った自動運転支援については、1990年代半ばに上信越自動車道で実証実験が行われ、2005年に開催された愛知万博では会場内の専用道路を走るバスに装着された。しかし、その後は道路上に埋め込まれた磁気マーカーの磁力が強過ぎて空き缶を集めてしまうとか、路面に穴を開けることからひび割れを誘発するとか、開発過程で様々な問題が発生し、実用化には至らないでいた。

愛知製鋼はその間、スマートフォンに内蔵する地磁気センサーを主力製品として来たが、自動運転の実証実験が政府主導で行う段階となり、再び磁気マーカーに活用価値が出てきたと判断。新システムの導入にあたり、本格的な活動を開始したというわけだ。

愛知製鋼のスマートカンパニー先端・機能商品開発部の青山均氏は「磁気マーカーは自動運転だけでなく、幅広い用途がある。中でも注目しているのがパラリンピックでの活用方法だ。たとえば、今はブリッジを渡して車椅子を送迎車両に載せているが、磁気マーカーを使えばギリギリまで幅寄せできるようになるので、ブリッジは不要となる」と話す。

《会田肇》

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