「NSX 専用トランスポーター」に問い合わせ殺到…専門店が開発、そのこだわりとは

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ルートKS が開発した「NSX 専用トランスポーター」
ルートKS が開発した「NSX 専用トランスポーター」 全 24 枚 拡大写真

ホンダ『NSX』専門店として全国に名が知られるルートKS(三重県鈴鹿市)。同ショップのこだわりを象徴するのが、納車や引き取りなどの際に使うNSX専用積載車だ。同店の川合進二社長によると、3年前の導入以来、フェラーリやポルシャなどの高級スポーツカーを扱う業者からも問い合わせが多いという。

積載車のベース車両は新車で購入した2014年式のいすゞ『フォワード SEカスタム・4トン車』のフルオプション仕様。一番の特徴は、雨や飛来物からNSXを守る箱型車であることだ。クルマをむきだしの状態で運ぶ一般的なキャリアカーと違って、運ぶ側にとっても、そしてNSXのオーナーにとっても、箱型車は安心感がまったく違う。また、運んでいる車両を人の眼にさらさずに済むのもメリットの一つだ。アルミバンボディは日本トレクス製である。

そして何より目を引くのが、箱の左右、リア、そして内部に描かれたNSXのイラストだろう。左サイドにはノーマルのNSX、右サイドにはルートKSのデモカーである「ゼロフォース」、リアには新型NSX(NC1型)、荷室内の前と後ろには初代NSXの前期型と後期型が左右半々で描かれている。イメージはスーパーGTのNSXを運ぶトランスポーターだ。

フルフラット積載装置を装備

最低地上高の低いNSXを運ぶ時でも、バンパーやスポイラーなどが当たらないように、スターレッカー栃木製の電動油圧式フルフラット積載装置をオプションで装備している。これによりレーシングカーのようなゼロフォースでもスムーズに積載可能だ。また、積載する車両のエンジンが掛からず自走できない場合でも、これなら容易に車両の積み下ろしができる。

積車自体の全幅は国内の一般大型トラックや大型バスと同じ249cmで、積載最大幅は215cm。NSXはもちろん、フェラーリなどのスーパースポーツも積載可能だ。奥行きは6.2mあるので、車両と一緒にスペアタイヤやパーツなども積み込むことができる。

エアサスペンションで人にもNSXにも優しい

足まわりには精密部品などを運ぶトラック用のリア4バッグ式エアサスペンションを採用。「クルマを運ぶだけなら普通のサスペンションでも良かったと思うのですが…、乗り心地がぜんぜん違うんです。おかげで荷室内もあんまり揺れません」と川合社長。人間も楽なら、積まれるNSXにも優しいということだ。

加えて搭載車両の固定にはベルト式タイヤ固縛装置を採用。タイダウンでサスペンションを縮ませるタイプと違って、車両への負担はほとんどゼロとなっている。

なお、エンジンはインタークーラーターボ付ディーゼル(240ps)で、クルーズコントロールも装備(4トントラックとしては豪華)。ワイドキャブ、ベッド付きで2泊3日とのこと。納車や引き取りなどは川合社長自ら「ほぼ100%」行くという。北は北海道、南は鹿児島まで、この2年半で走行距離は約10万kmだ。

ユーザーの満足感のために

NSXを安全に運ぶためには、安全運転も欠かせない。そこでドライブレコーダーはもちろんのこと、それ以外にもモニター用のカメラを後方と左側(巻き込み防止)、そして荷室内に設置している。荷室内のカメラは、走行中に積んでいる車両の様子を確認するためだが、「クルマを引き取りに行く時、うっかり車両を積んだまま出発していないか確認するために」という役目もあるらしい。

細かいところでは、大型トラック等で使われるホイールパーキングブレーキもオプションで装着している。小型トラックに通常使われるセンターブレーキ式駐車ブレーキは、プロペラシャフト部分で固定するだけなので、積載時に揺れたり、トラックが動いてしまうことがあるが、これは強力な制動力で車輪を固定するタイプで、積載時の安全性や安心感がぜんぜん違うそうだ。

ここまで積載車にこだわるのは「それくらい自分はNSXが好きで、大事にしたいから」と川合社長。また、NSX専用積載車で運んだ時のユーザーの反応も、普通のキャリアカーで行った時とはまったく違うという。NSXオーナーには輸入スーパースポーツを複数所有する人も多いが、ルートKSではそれら以上にNSXを大切に運ぶわけで、それを見たユーザーの満足感は確かに計り知れないものがある。クルマを所有する満足感は、クルマそのものだけで得られるものではないということだろう。

《丹羽圭@DAYS》

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