HMD(ヘッドマウントディスプレイ)とモーションシートでダイナミックな体験ができるVRアトラクションは、今や都市部で人気のアミューズメント施設の1つ。
そんなVRアトラクションを国際ロボット展の会場にも持ち込んでしまったのが、川崎重工。
2脚のバケットシートをセットした台座をロボットに連結。HMDの映像に合わせてシートを動かすことでVRアトラクションとなってしまうのだ。映像はドローンによる川崎重工の工場内や様々な風景。まるでドローンに乗って飛び回っているような感覚が味わえるのだそう。これはお台場にあるカワサキロボステージにも現在展示してあるものだ。
さらにユニークなのは、塗装工程や組み立て行程を再現した産業ロボットで新たなソリューションを提案していたことだ。
Successor(サクセサー=継承者の意)と名付けられたこのシステムは、熟練職人の技術をロボットにコピーさせることで、技術の継承が行えるというもの。今回のブースでは来場者に塗装ロボットを操縦してもらい1つのカウルを塗装すると、それと同じ動きで次々とカウルを塗装していくという。
塗装しているのはツアラーバイクのカウルのようだが、実は塗装ではなく噴射しているのは水。濡れると色が変わる塗料が塗ってあり、塗装工程で色が付いたように見えるカウルは、回転して赤外線ヒーターで乾燥させると元の下地塗装に戻るという仕組みだ。
このサクセサー、作業者の操作を覚えて自動運転に変換するだけでなく、遠隔操作とのハイブリッド運転も可能。さらに人間特有の作業のバラつきもAIが学習して自動運転に変換できる。また熟練者がロボットに覚えさせた操作を、逆に新人にロボットが教えることもできるそうだ。
単に産業ロボットが作業者の代わりになるだけでなく、熟練技術者の匠の技も記憶して、次世代へと伝えていける。産業ロボットの新しい可能性を感じさせてくれるシステムだ。