交通事故被害者と自動車関係団体で構成する「自賠責制度を考える会」(座長=日本大学危機管理学部長・福田弥夫教授)が、麻生太郎財相と面会していたことがわかった。
自賠責制度を考える会は2010年に発足。2018年度に自動車ユーザーが支払った自賠責保険料の運用による積立金6169億円の返済期限を迎える。この確実な返済を求めて活動を再開した。全国遷延性意識障害者・家族の会、日本自動車会議所、日本自動車連盟などが名を連ねる。
関係者によると、面会は11月13日に15分程度行われた。考える会はその場で確実な要望を求めることを内容とした要望書を手渡した。麻生氏は次のように述べたという。
「私の在任期間中に、何とかしなければと思っている」
6169億円は被害者救済の基金として運用し、その運用益を被害者救済事業に役立てるためにある。税金に頼らず、自動車事故被害者や家族の補償をするためだ。財務省はこの積立金を財政特例として一般会計に繰り入れた(=借り入れた)が14年間、財政難を理由に返済していないため、被害者救済事業は毎年赤字を続けている。
現状は、国土交通省の手元に残った基金を取り崩して補てんしているため、運用すべき基金が急激に目減りしており、救済事業を継続することができなくなる。しかし、財務省は毎年、財相と国交相の返済に関する覚書を理由に「財政事情と被害者救済事業の収支状況を踏まえて協議する」と、具体的な返済について言及することを避けていた。
麻生氏の発言は非公式ながら、来年度以降の取扱いに道を拓くものと期待を持って、関係者に受け止められている。