バッテリーというピースが埋まり決心した…トヨタ電動化戦略、3部作完結

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トヨタ 取締役副社長 寺師茂樹氏
トヨタ 取締役副社長 寺師茂樹氏 全 7 枚 拡大写真

11月28日の電動化コンポーネント技術の発表、12月13日のトヨタパナソニックとの車載用角形電池事業での協業発表。そして今回、12月18日にトヨタ自動車寺師茂樹取締役副社長が行ったトヨタ電動化戦略の発表。寺師副社長によれば、この発表でトヨタの電動化チャレンジ3部作が完結するという。

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この1か月、トヨタは立て続けに電動化に関する戦略発表を行っている。背景にはフォルクスワーゲンらの中国市場向けのEV戦略もあるだろうが、寺師によれば、この時期にあえて電動化にむけた取り組みを発表したのは、2030年から2050年までの長期的な戦略のため、欠けていたピースがようやく埋まったからだとする。

そのピースはバッテリーに関する技術と生産体制だ。これが先般のパナソニックとの協業発表を指すことは間違いないが、ハイブリッド車を主力に置くトヨタは、EVを生産するとためにはバッテリーの調達に慎重な判断をしていたという。これまでに発表されている電動化ロードマップは、2020年に本格的なEV投入(まずは中国市場から)2025年に全車種に電動化グレード(HVも含む)のラインナップを完成させる。2030年には電動化率50%以上、EV/FCVの比率は10%以上を達成。2050年にはガソリンエンジン車(内燃機関)の新車製造をほぼ廃止する「新車CO2ゼロチャレンジ」に取り組むとしている。

2030年の目標としては、EV/PHEV/EV/FCVの電動化車両の生産台数550万台(トヨタ単体)。そのうち100万台をEV/FCVにすることがすでに発表されている。ただ、2020年に投入されるEV/FCVの製造販売台数がどの程度になるかは公表されていない。いずれにせよ、これまでHVメインでやってきたトヨタにとって、EVに積むバッテリー容量は50倍前後となる(HVのバッテリーが0.75kWhに対してリーフのバッテリは40kWh)。そのため、モーターやインバーターなどは問題なくとも、バッテリーの製造・供給体制を見直す必要があった。

20年かけて150万台までに育てた電動化車両を次の10年ちょっとでその3倍以上の生産体制にするには、異次元の構えが必要だと寺師副社長はいう。R&D投資も現状レベルの投資を積み上げると2030年までには1.5兆円規模になるという。パナソニックとの協業は、この戦略にめどがついたことを意味する。これによりトヨタはEVの適用レンジを広げ市場投入を本格的に開始し、FCVの多様化・インフラ整備を進め、さらにHV/PHEVの多様化(ラグジュアリー化、新興市場向け、スポーツカーなど)を加速させる。

EVについては、これまで短距離用コミューターとして位置付けていたが、乗用車、バン、トラック、バス、軽自動車や高級車、シェアリングカー向け車両へとEV適用をひろげていく。

従前より、トヨタはEVはいつでも作れることを公言してきた。その一方で量産乗用車EVの市場投入を、まるで作ると死ぬかのように拒否してきたのも事実だ。その背景にあったバッテリー問題がクリアされたことで、2019年の中国NEV規制への備えができたということだろう。

満を持してのトヨタ参戦は、綿密に計画され準備も万端に見える。逆にテスラや日産はうかうかしていられない状態になったといえるだろう。しかし、グローバルな経営戦略のセオリーとして、パートナーシップではない内製重視の戦略、M&Aや子会社による囲い込みはリスクも大きいし、スピード経営の足枷にもなりがちだ。もちろんトヨタのことだから、2020年には、新型リーフを超え、中国市場をうならせるEVを出してくるはずだ。最初の答えはそのときにでるだろう。

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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