SUBARU(スバル)の不適切な完成検査について、弁護士事務所がまとめた調査報告書が19日、同社により公表された。弁護士による調査は、社員役員延べ434人に及んだ。
資格を持たない検査員による業務は、社内規程上は本来、資格を持つ完成検査員が行うと定められていたが、完成検査員の養成課程で「完成検査員の候補者は『補助業務』を行うことができる」とされていたため、補助業務の範囲が拡大解釈されて、無資格者が完成検査そのものを行うようになっていたことがわかった。
また、完成検査員となるには全80時間の資格講習の実施、一定時間の補助業務、終了試験に合格することなどが規定されていたが、実態は社内規定に従った運用がされていなかった。
資格講習はそもそも記録管理がなく実施が確認できず、補助業務に従事して習熟する期間も、完成検査員となることとは無関係の業務について資格を与えられたケースがあった。また、日産自動車と同じように、終了試験において試験官が解答を教える、または暗示するなどの『ずさんな試験運営・監督』の実態があった。
現場には『習熟の見極めが行われており、検査に必要となる技術の十分性には問題がない』『検査に必要な技術を備えてさえいればよい』という『過度な技術重視の風土があった』と、調査報告書は指摘する。
ただ、こうした無資格者による検査について、国交省や社内での監査では、現場係長や班長が無資格者を完成検査ラインから一時的に外す『監査対応』が行われていた。
法令順守の精神は、ここでも軽視されていた。会見では吉永泰之社長と執行役員の大崎篤品質保証本部長が、30分以上にわたって報告書を読み上げた。