マツダ 山本元社長が死去…ロータリーエンジン生みの親

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社長時代の山本健一氏
社長時代の山本健一氏 全 3 枚 拡大写真
自動車用のロータリーエンジンを世界で初めて実用開発し、マツダの社長や会長も務めた山本健一(やまもと・けんいち)氏が12月20日に老衰のため死去した。95歳だった。

近親者による密葬はすでに行われており、マツダは後日「お別れの会」を行う予定だが、日時等は未定。山本氏は1922年、熊本県生まれ。東京帝大第1工学部卒業後、旧海軍を経て1946年に東洋工業(現マツダ)に入社。同社は60年代初頭にロータリーエンジンの開発に取り組むことになり、山本氏が63年発足のロータリーエンジン研究部の部長に起用され、開発の指揮を執った。同部のメンバーは若手技術者を中心に47人で、後に「ロータリー47士」とも呼ばれた。

山本氏はプロジェクトのスタートに当たり、開発メンバーを「寝ても覚めてもロータリーエンジンのことを考えてほしい」と鼓舞した。開発では「アペックスシール」と呼ぶ、ローターに装着するシーリング(封止)部品が最大の難関となり、牛のツノなどあらゆる素材での試作も行ったというエピソードもある。最終的にはアルミにカーボンを浸透させた素材を採用した。

開発に成功したロータリーエンジンは、1967年に「コスモスポーツ」に初搭載されて世に出た。今年はそのコスモスポーツの登場からちょうど半世紀の節目でもあった。ロータリーエンジンは燃費性能が弱点ではあったものの、排ガス性能が高い「低公害エンジン」でもあり、製品化には至らなかったものの、トヨタ自動車も排ガス対策の一環として60年代後半に開発を進めたことがある。

山本氏は1984年には社長に就任、87年の退任後は会長に就き92年まで務めた。現在、マツダにロータリーエンジン搭載の市販モデルはないものの、2019年にはレンジエクステンダーと呼ばれるシリーズ式ハイブリッド車(HV)の発電用として同エンジンが採用される計画だ。

《池原照雄》

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