トヨタ eパレットコンセプト にロータリーエンジンが載る理由とは…CES 2018

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トヨタ eパレットコンセプトにロータリーエンジンが載る理由とは
トヨタ eパレットコンセプトにロータリーエンジンが載る理由とは 全 4 枚 拡大写真

トヨタ自動車は、米ラスベガスで開催中のCES2018においてプレスカンファレンスを実施し、登壇した豊田章男社長はモビリティサービス専用EV『e-Palette Concept(eパレットコンセプト)』を発表した。移動、物流、物販など多目的に活用できるモビリティサービス専用EVとなる。

そしてこのeパレットコンセプトを活用した各種モビリティサービスの実現に向けて、アライアンスパートナーが発表された。

まずモビリティサービスパートナーとして、米アマゾン、中国最大のライドシェア企業滴滴出行(Didi Chuxing)、ピザハット、ウーバーの4社。そして技術パートナーとしては、滴滴出行、マツダ、ウーバーの3社となる。アライアンスパートナーは、サービスの企画段階から参画し、実験車両による実証事業をトヨタと連携して進めていく予定だ。

プレスカンファレンスの後に、同社副社長である友山茂樹氏へのQAセッションに参加する機会を得た。eパレットコンセプトと、連携するプラットフォームとなるモビリティサービスプラットフォーム(MSPF)について聞いた。

---:アライアンスパートナーとして他社と組んで検討を進める理由は?

友山氏:我々自身の設計だけでは、(サービス事業者として車両を利用する)彼らのニーズを取り込むのに限界がある。開発の段階から、どういう使い方をしたいのかということを一緒に考えることによって、eパレットのありかたや、2020年の前半から始まるそれぞれのアライアンスパートナとの実証実験につなげることができるからだ。

---:サービスを実施するうえで収集されるデータは誰のものになるのか。

友山氏:アライアンスの取り決めの中では、彼らの利用範囲においてはMSPFを通じてデータを収集することができる。トヨタがデータを使うというアライアンス内容は今の段階ではない。またパートナー企業は、いくつかの車両のインターフェイスを操作することが可能になる。
QAセッションでの友山氏
---:eパレットコンセプトには各社独自の自動運転ソフトウェアを搭載できるのか。

友山氏:そうだ。自動運転のソフトウェアは、トヨタが作る場合もあるが、例えばライドシェアカンパニーが作ったソフトウェアを載せる場合もある。オープンな仕組みだ。トヨタとしてはインターフェイスを設けて標準化し、いろいろな事業者がソフトウェアを載せられるようにしていく。

それぞれのサービス事業者のニーズによって、ソフトウェアのあり方は様々に変化する。それをすべて自動車メーカーがフォローしていくのは難しい。ただ自動車そのものは、非常に複雑なコンポーネントなので誰でも簡単に作れるわけではない。なので、きちんとしたインターフェイスを設けて彼らのニーズに応じた自動運転のソフトウェアを任せる、という考え方だ。もちろん我々が自動運転をやる場合は、我々のソフトウェアが載る。

---:技術パートナーにマツダが入っている理由は。

友山氏:EVのeパレットコンセプトは近距離の利用イメージだが、事業者によっては、もう少し中距離までカバーしたいというケースや、なにかの理由で非常に消費電力が大きくなる場合もあるだろう。そうなるとEVでは限界が出てくるので、レンジエクステンダー型の車両もあり得る。マツダの小型ロータリーエンジンはレンジエクステンダー向けに非常に可能性があると考えており、そのような想定もありマツダが参加している。

---:東京五輪では、eパレットコンセプトは具体的にどのような形で利用されるのか。

友山氏:東京五輪では、限定されたエリアで立ち乗り20人のeパレットコンセプトを複数台、自動運転レベル4で走らせる計画を進めている。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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