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オークション会場
オークション会場 全 5 枚 拡大写真

3. オートオークション会場とはどのような施設か?

では実際のオートオークション会場はどうなっているのか。本来なら会員しか入場できないが、今回特別に許可を頂き、筆者は千葉県柏市にあるCAA(シーエーエー)東京会場を訪ねた。

オークション会場を見るのが初めてだったこともあり、まずは建物周辺の駐車場の規模に圧倒された。出品者だけでなく落札者も多くが自動車で訪れるためだが、野球場が複数収まってしまうほどの広大な敷地を有している。建物内は1階が受付で、2・3階に休憩スペースや商談コーナーがあり、奥にオークション会場が位置していた。食堂もあるので、長時間の滞在も不自由なくできそうだった。

オークション場に入ると、再びその規模に驚かされた。大きなコンサート会場を思わせる広さであり、それぞれのテーブルの前にはモニターが並んでいる。ただしステージにあたる部分には巨大なディスプレイが並ぶだけで、車両の姿はない。昔は車路(orオークション場内)に1台ずつ車両を通して入札を行っていたが、今は事前に撮影した写真と資料を元に入札を行う方式が一般的になっている。

CAA会場の写真

入札の電子化にはさまざまな利点がある。そのひとつが効率性であり、現在は約10秒に1台の割でオークションが進んでいく。多いときは1日で1万台をさばく会場もあるそうだ。世界を見渡しても、これほどのスピードでオークションが進む国は異例で、見学のために海外から訪れる人も多いという。

筆者のような初心者には追いつくのさえ難しそうなスピードであるが、入札者は自分の欲しい車種をあらかじめ入力しておけば、その車種の順番をあらかじめ把握することも可能であり、全体的には確実に利便性が高まっているという印象を受けた。外国人の姿が多いことにも気づく。日本の中古車は走行距離が少なく、状態が良いものが多いので、新興国から注目されているようだ。オークション会場に訪れるのは日本に駐在している外国人スタッフであり、現地の状況を肌で知っているので、日本人が代行するより的確な判断ができるという。

筆者も中古車を買う際には、なるべくなら現車を確認したい。しかし車両の状態を公平に評価・表示するシステムがあれば、インターネットでの購入する際の安心感・信頼感が高まる。オートオークションの分野でそれを実践しているのが前述したAISである。次回はその中身について、独自に取材した結果をもとにお送りしたい。

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森口 将之|モビリティジャーナリスト・株式会社モビリシティ代表取締役
1962年東京都生まれ。早稲田大学卒業。自動車専門誌編集部を経て1993年にフリージャーナリストとして独立。自動車分野では自動運転からクラシックカーまで幅広いジャンルを担当し、新聞、雑誌、インターネット、ラジオ、テレビなどで活動中。自動車以外の交通事情やまちづくりなども精力的に取材しており、2011年には同分野でリサーチやコンサルティングを担当する会社、株式会社モビリシティを設立。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。日本自動車ジャーナリスト協会、日仏メディア交流協会、日本福祉のまちづくり学会、各会員。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「富山から拡がる交通革命」(交通新聞社)「これから始まる自動運転 社会はどうなる!?」(秀和システム)など。

<オークネット総合研究所 概要>
1985年に世界初の中古車TVオークション事業をスタートし、以来30年にわたりオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営。これまで培った実績とネットワークを活用し、専門性、信頼性の高い情報を発信することで、更なる業界発展に寄与することを目指している。

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《森口将之》

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