中古車流通を支える品質管理の最前線に迫る【オークネット総合研究所】

自動車 ビジネス 国内マーケット
PR
オークション会場
オークション会場 全 5 枚 拡大写真

オークネット総合研究所は、BtoBネットオークションを主軸とした情報流通サービスを提供するオークネットグループが運営し、独自の調査レポートなどを発表している。

2018年1月より、中古車流通市場およびその品質管理に関し、モビリティジャーナリスト・森口将之氏が取材・調査したレポートを展開。レスポンスでも紹介する。第1回では、日本における中古車のBtoB流通について、その歴史を振り返るとともに、現在広く普及するオートオークション会場について調査した。

1. 日本における中古車市場の概況

自動車の流通経路は、新車の場合は自動車メーカーの工場で生産された車両がディーラー(販売店)に運ばれ、それをユーザーが手に入れるという明確なルートが確立されている。中古車のそれは多種多様ではあるが、現在は、多くの中古車がオートオークションを経由して取引されているのが実情である。オートオークションとは、中古車販売店、買取店、新車ディーラー等によるBtoB(業者間取引)の市場で、全国に130(入札会を含む)ある会場中古車流通の85%がここを介していると言われる。中古車事業者が中古車を売り買いする市場が存在するのだ。

オークション会場

一般社団法人 日本自動車販売協会連合会と一般社団法人 全国軽自動車協会連合会が発表した2016年の統計によると、我が国の中古車の登録台数は約675万台で、新車登録台数の約497万台を上回る。

日本に中古車市場が確立したのは1950年代後半、高度経済成長が始まった頃と言われる。経済成長によって自動車の販売が急激に増えたことで、一部のユーザーはそれまで乗っていた車両を下取りに出して別の新車を購入することになった。これにより中古車の数が急激に増えてきた。これらの中古車は当初、ディーラーで新車に混じり販売されていた。しかしディーラーは新車を売るのが本業であり、中古車を脇役とするのは当然だった。また新車はどこのディーラーでどの車種を売るか決まっているが、中古車の場合はそうではなく、ユーザーにとって不便であった。

こうした問題を解決するために、まずはディーラー間で中古車の車両を融通し合う行為が始まった。当初、仲介を買って出たのは業販店(業者間で販売を行う事業者)であるが、後にディーラー自身が集まって競りを行うようになった。これがオートオークションの始まりである。

2. オートオークションの普及と中古車流通の変化

日本初のオートオークションは、トヨタ自動車系列のTAA(トヨタ・オート・オークション/現トヨタ・ユーゼック)が1967年に始めたのが最初と言われている。続いて1969年、地域の中古車販売店が集まった組合によるオークションが開催(後に組合の全国組織としてJU中販連に発展)。1971年、任意団体としてJAA(日本オートオークション協会/現ジェーエーエー)が設立され、業界初のPOSシステム(機械式入札機)によるオークションが開始された。

これより前の1958年には、月ごとの中古車の相場を掲載したレッドブックと呼ばれる中古車価格情報専門誌が発行されるようになったが、こちらは主として交通事故時に保険会社が査定のため参考にする資料であった。旧式の中古車売買は、ブローカーが特定のディーラーから仕入れた中古車を自分の判断で中古車販売店に売却するというビジネススタイルであったが、公平性に欠けた。しかしオークションであれば、さまざまなディーラーから持ち込まれた中古車がオークションという同一の舞台に並び、それを求める中古車販売店は同じ条件で落札する。公平性が格段に高まったのである。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 続きを読む

《森口将之》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  2. トヨタの大型ピックアップトラックの逆輸入に期待? 新型発表に日本のファンも熱視線
  3. 次期BMW『X5』の車内を激写! メーターパネル廃止、全く新しいパノラミックiDriveディスプレイを搭載
  4. ホンダ『CB1000F SE コンセプト』を世界初披露! カウルが付いてネオレトロ感アップ、MSショーからの変更点もチェック!
  5. 自動車購入の落とし穴! 公取協・公取委の警告から学ぶ
  6. ジープの小型SUV『アベンジャー』、発売2年で20万台受注…電動車比率は66%に
  7. 中国マイクロEV『小馬』10万台を販売した「かわいいペット」戦略
  8. 約10万円で200km以上走るEVバイク登場に「現実的な選択肢」、ベトナムから日本上陸に期待の声
  9. 「復活まじうれし!」「全色欲しい」新型スズキ『GSX-R1000』発表に、SNSは話題沸騰!
  10. 新型ドゥカティ『パニガーレV2S』日本上陸に「スイングアームアームすげー」「日本じゃ全力は使えない」など驚きの声
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る