なぜ「オートモーティブワールド」が世界最大級の自動車技術展となりえたのか

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自動運転技術などをメインにブースを構えるイスラエル企業の展示。積極的に海外からの出展、来場を呼びかけている(オートモーティブワールド2018)
自動運転技術などをメインにブースを構えるイスラエル企業の展示。積極的に海外からの出展、来場を呼びかけている(オートモーティブワールド2018) 全 24 枚 拡大写真

先端自動車技術展「オートモーティブワールド2018」が1月17日、東京ビッグサイトで開幕した。年々、会場規模、出展者・来場者数ともに拡大を続けているオートモーティブワールドだが、第10回となる今回は、過去最多の1100社が出展。新たに「自動運転EXPO」も新設し、さらなる注目を集めている。

今や日本のみならず世界最大規模の自動車技術展にまで成長したオートモーティブワールドは、なぜ、いかにして拡大し続けるのか、その理由を同展事務局長のリード エグジビジョン ジャパン早田匡希氏に訊いた。

オートモーティブワールドの根底にあるのは、「日本の自動車業界の活性化であり、日本の技術者、ものづくりを盛り上げること」として、「技術者の方々が欲しいもの、見たいもの、優れた技術を日本に居ながらにして見ることが出来る、これがオートモーティブワールド最大の特徴であり、評価を頂いている点」と早田氏は語る。

日本で開催することにこだわり、海外からの出展社、来場者の誘致も積極的におこなってきた。自動運転技術への世界的な関心の高まりがあれば、先進技術に長けるイスラエルからスタートアップ企業を集め交流の場を作った。中国、韓国、そして欧州のメーカー、サプライヤーのトップにも働きかけた。

出展、来場のメリットを問われると「自動車の展示会ではなく、テクノロジーの展示会であるということをお話している。すぐに『それならば技術者のトップを派遣すれば良いのだな』とご理解頂ける。中国のメーカーさんの例では『毎年かならず10名~20名は来場させる』と言って頂いた」(早田氏)。技術者同士の交流の場であり、ビジネストレードの場である。目的とテーマが明確で、価値が認められているからこそ、再来場、再出展につながっている。
オートモーティブワールド2018では、新たに自動運転EXPOが加わった
今回の規模拡大の要因として早田氏は「大きく言えばふたつある」と話す。

「ひとつは、前回(2017年)で、来場者がかなり増えたこと。前々回の2万7000人から3万5000人になったことで、出展社の満足度もかなり上がった。『これは毎年出ないと』とおっしゃって頂けるようになった。前回は会期中に、次年度(今年、2018年)のブースの8割から9割近くの出展が決まった。エリアによっては会期中に完売したし、キャンセル待ちもあった。来場者の増加による出展者の満足度の向上、これが大きい」

もうひとつが新設した自動運転EXPOだ。

「自動運転技術への注目度は世界的にも高い。最も出展の相談が多かったのが自動運転EXPOだった。2017年6月に自動運転EXPOの開催を発表したところ、わずか1か月でブースは完売したほど。急遽、東8ホールにも会場を追加した。いわゆる自動車メーカーだけでない企業・人、スタートアップなどが世界中から参入してきているのが自動運転という分野。最近はオープンイノベーションとして系列外であろうが、あるいは国境も飛び越えて手を組んでいる。裏を返せば、まだまだ知らない企業を発掘したいというニーズがあるということだ。日本に居ながらにして、ドイツやハンガリー、イスラエルなどの技術を見て、新しいパートナーを見つけることができる。これこそが展示会の醍醐味だ」

2009年に「カーエレクトロニクス技術展」としてスタートした同展は年々、時流にあったテーマを設定し展示会を新設・統合することでその規模を拡大してきた。「来場者、出展者の声を聞く、ということを常に心がけている。アドバイザリー・コミッティーとして協力頂いている主要メーカーの方々にも積極的に次への提案を頂けている。オートモーティブワールドでは、技術者の人たちが求めていること、さらにその一歩先を掴んで提供していきたいと思っている」。
次回の申し込みは開幕までにすでにブースの4割を占めた。会期中に完売する見通し(写真は17日)
9月には名古屋での開催も予定しているオートモーティブワールドだが、早くも次年度の申し込みが殺到しているという。17日の開場前にはすでに次年度のブースの4割が売れ、「会期中に完売となるだろう」と早田氏は話していた。会場、規模、来場者ともにさらなる拡大が見込まれる。

いっぽうで、会場となっている東京ビッグサイトは、2020年の東京オリンピック開催に向け2019年4月より段階的に使用できなくなる。オートモーティブワールドを主催するリードの石積忠夫社長が会長を務める日本展示会協会は、日本の経済、産業における展示会の重要性を訴え、展示会の縮小あるいは中止を避けるべく声を上げている。オートモーティブワールドとしては2020年の「第12回」開催に影響が出る見通しで、早田氏は、「会場が使えればまだまだ展示会は拡大していける。縮小や中止をした年に、例えばアジアで新たな展示会が立ち上がったら、そちらに流出して二度と戻らないだろう。日本での展示会に世界中の技術、技術者を集めることは、何より日本の経済、ものづくりのためにも大切。日本の吸引力を維持するためにも、同規模あるいはより大きな展示会を開催することは不可欠だ」と話した。

■第10回オートモーティブワールド
会期:2018年1月17日(水)~19日(金)10:00~18:00(最終日のみ17:00まで)
会場:東京ビッグサイト
主催:リード エグジビション ジャパン株式会社

《宮崎壮人》

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