【岩貞るみこの人道車医】SUICAだってやればできるはず、豪ICカードはこんなに便利

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オーストラリアのシドニー近郊で活躍した交通系ICカード「オパールカード」。SUICAのようなデポジットはなし。
オーストラリアのシドニー近郊で活躍した交通系ICカード「オパールカード」。SUICAのようなデポジットはなし。 全 11 枚 拡大写真

【車】オーストラリアで感じた移動の利便性

2017-2018の年末年始を10年ぶりの海外、オーストラリアで過ごすにあたり、これまでとは違う計画のたて方をしてみた。宿泊場所をAirBnBで探したのである。いわゆる民泊。他人様のおうちを借りる。これがまあ大当たりで、すっばらしい眺めの静かな別荘を使わせていただけることになった。

また、レンタカーは、「一番安い価格を表示する」RentalCars.comで探して早期予約をしたら、2週間という長期にも関わらずヒュンダイ『アクセント』の6MTが3万円台というおどろきの価格を簡単に探し出すことができた。

位置情報、移動情報はGoogleMapの出番で、カーナビ機能でルート探索はもちろん、今いる場所から目的地までの電車や鉄道での行き方から徒歩でのルート、Uberを利用したら何分で来てくれていくらで行けるなど、こと細かに教えてくれる。もちろん、レストラン情報もだ。もっとも、徒歩を選択したときに出てくるトレッキングコースは距離だけで計算して時間を算出するため、ものすごい岩だらけの道を両手使ってよじのぼることは考慮されていないし、年末年始のレストランの営業時間はいい加減で、何度、暗く閉ざされた店舗の前で茫然と立ちつくしたかはわからないけれど、大晦日、通行止めエリアになるバス停の位置がどこに移動するかはリアルタイムに教えてくれて、すごく助かった。

ユーザーはなにを求めているのか。どういう情報が欲しいのか。それを第一に考えて技術を活用すると、こんなに旅は変わるのかとしみじみである(逆に、技術先行で無理やり生み出すサービスは、本当に使い物にならないよね)。20年前では考えられない状況に、頭のいい人たち、本当にありがとうという気分だ。

◆「Opal card」はSUICAと何が違うのか
バスは前乗り。タップして乗る。
今回、シドニー近郊で使ったサービス&アプリでもうひとつ便利だったのが、Opal card(オパールカード)である。いわゆるチャージ式のICカードで、バス、鉄道、フェリーなどの公共交通機関で利用できるもの。基本的にはSUICAと同じなのだけれど、なにが便利かというと、駅に行かなくても買えることだ。セブンイレブンなどのコンビニや、スーパーでも売ってくれる。「いや、どうせ電車に乗るんだから、駅で買えればいいじゃん?」って、いや、それ、違うでしょ。バスだけを使うバスユーザーは困るのだ。駅なんて行かないし。さらにこのOpal card、チャージもスーパーやコンビニでしてくれるので、とっても便利なのだ。(※追記:SUICAは一部コンビニの店舗でも、チャージできました。お詫びして訂正いたします。)

しかもOpal cardのアプリのなかには、チャージできる場所の地図まで入っている。さらに、アプリにOpal cardの番号を登録すれば、自分のOpal cardが、いつ、どこで、いくら使ったのか、チャージしたのかがわかるし、経路検索機能を使えば、次にいくところまでいくらかもわかる。旅行者は計画が立てやすくて大満足なのだ。たしかにSUICAやPASMOは鉄道会社が母体で、Opal cardは自治体主導という違いはあるのだけれど、東京オリンピックに向けてバスの定時性を保つため等々で、外国人旅行者にSUICAやPASMOなどを普及させようとしている日本としては、使いやすさの点でなんだか差がつけられちゃっているなーという気分である。

◆なぜSUICAに割引サービスがないのか
シドニー近郊はバスが縦横無尽に走り回っていてとても便利に移動できる。
そして、Opal card最大の特徴は、割引サービスがあることだ。

1)一日の運賃支払い上限が平日はAUD15.00! 日曜日はAUD2.50! それ以上はいくら乗ってもタダってすごくないですか? ちなみになぜか私は、土曜日に乗ったときは全部でAUD15.40支払い、日曜日は、AUD2.60払っていたけれど……なぜ?

2)ピークの時間帯をはずせば、30%オフ! ちなみにピークは平日の7-9時と16-18時30分。

3)平日に8回以上利用すると、9回目からの運賃は半額! 週が変わるとリセットされるけれど、今週、自分が何回乗ったかは、アプリ内に表示される。

私は常々、思っていたのだけれど、なぜ、SUICAやPASMOは、時間帯割引や回数券みたいなサービスがないのだろう。ケチな私は以前からずっと回数券ユーザーだった(今は紙資源がもったいないからやめたけれど)。10回分の料金で11回。オフピークと日曜なら12回使えるのである。SUICAだってやろうと思えばオフピークへの誘導を兼ねて、割引サービスができるはずである。登場直後は、カード内にデータが入りきらないと説明を受けたけれど、あれから何年たったのよ? ちなみにもっと理解不能なのは、対距離運賃が切符ベースと同じだということだ。券売機なら、ボタンの数の関係で二駅乗っても三駅乗っても同じ運賃というのはわかるけれど、SUICAなら一駅ずつ設定できるんじゃないの?と。これは、利用者負担の原則に反しているんじゃないの?と。

ただでさえ、先にチャージさせてお金を手元におけるビジネスやっているんだから、もっとユーザーフレンドリーなサービス考えればいいのに。このままだと「日本のシステムっておっくれてる~」と言われちゃうよね。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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