「空飛ぶクルマ」は実現するか!? 立ちはだかる壁…オートモーティブワールド2018

自動車 ニューモデル モーターショー
Terrafugia の空飛ぶクルマ「トランジション」
Terrafugia の空飛ぶクルマ「トランジション」 全 5 枚 拡大写真

トヨタやAeroMobilなどが開発に着手し、世界中のモビリティ企業が注目する「空飛ぶクルマ」。

オートモーティブワールド2018特別講演「『空飛ぶクルマ』開発の現状と展望」で、Terrafugia の Carl Dietrich 氏が、空飛ぶクルマの市場拡大に立ちはだかるハードルや課題について伝えた。

「空飛ぶクルマ」プロジェクトに参入する大手自動車メーカーや航空機メーカーなどは、都市部向け電動垂直離着陸機(eVTOL機)市場の可能性を探っている。Terrafugiaは、飛行自動車の試作機を2008年から試験飛行させている。

Carl Dietrich 氏は、飛行自動車の構造や仕組み、衝突安全性などを紹介し、現在の航空業界と決定的に違う点について言及。

「電動垂直離着陸機などは、現在の小型機には搭載されていないADS-B(Automatic Dependent Surveillance - Broadcast)でつながるイメージ。実装されるAIや機械学習によって、有人飛行機の安全性を向上させることもできる。自動衝突回避システムなどのアルゴリズムは、いたってシンプル」

「そこで立ちはだかるのが、現在の航空法。航空局が設定した複数の空域には、管制と無線を介して通信しながらの飛行を義務付ける空域がある。運転免許があれば誰でも乗れるクルマと違い、空飛ぶクルマには、既存の空を飛ぶための免許や、法制度に遵守しながら飛ぶという高いハードルがある」

こうした課題に加え、現在の航空局が認可する飛行には、「そもそもの考え方に違いがある」と Carl Dietrich 氏はいう。

「航空局の管制のもとで飛ぶには、一定のインプットに対し、一定のアウトプットが求められる。つまりひとつの事象に対して、ひとつの行動が決まっている。パイロットの判断に委ねられている、経験に基づいた操縦が一般的」

「それに対し、飛行自動車領域では、機械学習の向上によって、飛行が実現する。ひとつの事象に対して、機械学習の度合いによって判断や行動が異なっていく。航空局では、こうした非決定システムは認可できないというスタンス」

Carl Dietrich 氏は、「技術向上と同時に、こうした法制度や既存規約、既存空域との共存へ向けたルールづくりが求められる」と伝えた。

彼は、マサチューセッツ工科大学で航空宇宙工学の博士号を取得。飛行自動車領域の草分け企業Terrafugiaの共同創立者で最高技術責任者として活躍している。

《レスポンス編集部》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  2. メルセデスベンツの万能車『ウニモグ』がキャンピングカーに! 数日間の自給自足が可能
  3. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  4. アルファロメオの新型コンパクトSUV『ジュニア』日本発売、ハイブリッド車が420万円から
  5. メルセデスの名車「190E エボ2」が復刻! 限定100台の「HWA EVO」にハンコック純正装着
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る