【グッドイヤー ベクター4シーズンズ 試乗】急な積雪にも十分なグリップ力。トルクの小さい軽自動車で試してみた…会田肇

試乗記 輸入車
「Goodyear Vector 4 Seasons Hybrid」のタイヤパターンは“V字”が特徴
「Goodyear Vector 4 Seasons Hybrid」のタイヤパターンは“V字”が特徴 全 9 枚 拡大写真

今シーズンは関東地方でも雪が多い。1月22日に4年ぶりの大雪が降ると10日も経たない2月1日に再び降雪。関東地方でも雪対策は欠かせないと思い知らされる冬となっている。そんな中で気になる存在がグッドイヤーのオールシーズンタイヤ『ベクター 4シーズンズハイブリッド』である。

オールシーズンタイヤとは、一年中使えるオールマイティな性能を備えているタイヤのこと。このタイプのタイヤは、日本でこそあまり浸透していないが、欧米ではむしろスタッドレスタイヤが一般的でなく、オールシーズンタイヤを使っているユーザーが多いという。実は日本でもオールシーズンタイヤは販売されていた時期があった。ただ、それらは積雪よりも泥濘地でのグリップを重視したもの。そのため、グリップ力は高めであっても積雪路を走ることはできなかった。

そんな中で登場したベクター 4シーズンズハイブリッドは、タイヤのサイドウォールに「M+S」の表記が入った。「M」=Mudは泥やぬかるみを意味し、「S」=SNOWを意味する。つまり、ぬかるみや雪でも走行できるタイヤであることを謳っているのだ。これにより、冬用タイヤ規制が出てもタイヤを履き替えることなく走行できるメリットを備えることとなったわけだ。

1月22日の雪は首都圏で30cmもの積雪になり、道路は完全に雪で埋め尽くされた。そのため、表通りに出ても走っているクルマはほとんどいない。そこをベクター 4シーズンズハイブリッドを履いたダイハツ『ムーブカスタム』で走ってみた。まず前に進む縦方向のグリップ力はかなり高い。ブレーキやアクセル操作を加えてもリニアに反応してグリップする。試しに少しキツメの上り坂で一旦停止し、そこで発進できるかを試すと、走り始めにやや左右にぶれたものの、難なく坂を登り切った。

ただ、交差点を少し高めの速度で曲がると若干外に膨らむ傾向が出た。縦方向のグリップ力に比べると、横方向については少し弱めの印象で、スタッドレスタイヤならもう少しグリップできたかも知れない。ただ、速度域を抑えて走ればきちんとグリップはするわけで、その辺りは“オールシーズンタイヤ”であることを認識して走れば問題はないと言えよう。

ではドライ路面ではどうか。純正で履いていたブリヂストン「エコピア」との比較で判断すると、ロードノイズは若干増えた印象を受ける。特に高速道路に入ると、気になるほどではないが少しノイズレベルが高まった感があるのだ。しかし、タイヤの反応は良好で、ステアリングを切った時の追従性はかなり高い。純正タイヤと比べてもまったく遜色はなく、むしろベクター 4シーズンズハイブリッドのウェット面でのグリップ力が安心感でプラスとなるだろう。

気になるのは燃費だ。エコピアで走っている時と比べて確実に燃費が落ちているのだ。「省エネタイヤと比べちゃいかん」との声も出そうだが、市街地では2割ほど、郊外を走っては1割ほど悪くなっている。小型車に履かせた人からは「燃費はほとんど違いがない」との話も聞いているので、もしかするとトルクが小さい軽自動車ならではの結果なのかも知れない。

とはいえ、ウェット時の高いグリップ力と、突然雪が降った時の対応など、オールシーズンタイヤとしてのベクター 4シーズンズハイブリッドの魅力はとても高い。加えて、タイヤを交換せずに一年中使えるということはタイヤの保管場所も不要となる。軽自動車と組み合わせた結果では燃費の低下が見られたが、走行時の安全性を踏まえれば目をつぶってもイイレベルではないかとも思う。降雪が少ない首都圏に住み、年間に数回の積雪に対してタイヤを別に用意できないという人にとってはまさに格好のタイヤとなるのではないだろうか。

会田 肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴って新型車の試乗もこなす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

《会田肇》

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