【トヨタ アルファード/ヴェルファイア 試乗】ルックスと優しい配慮の対比が面白い…木下隆之

試乗記 国産車
トヨタ・アルファード
トヨタ・アルファード 全 18 枚 拡大写真

僕らが親しみを込めてアルヴェルと呼ぶこのモデルの顔つきは、先代あたりから威圧感が増している。その攻撃的でありひと目でアルヴェルとわかるルックスは、新型になりさらに個性的になった。

【画像全18枚】

『アルファード』は、センターのグリルがさらに押し出しの強いものに。4眼を伝統とする『ヴェルファイア』は、グリルを取り囲むようなサイドの装飾が派手になった。

実はアルヴェルの意匠に関しては賛否両論あり、威圧感に対する否定派と肯定派が混在していた。だが、販売は好調だという。肯定派が多いと判断しての、さらなるイメージ強化というわけだ。もちろん、意匠変更はフロントだけでなくリアエンドにも及んでいる。

ともあれ、アルヴェルの変更箇所は、エクステリアのイメージ強化だけではない。マイナーチェンジという言葉の響きから受ける印象を超えて、本格的に手が入っている。その一つが安全機能の強化である。予防安全に関して、さらに新システムを投入しているのだ。

これまでの「トヨタ セーフティセンスP」が、第二世代の「トヨタ セーフティセンス」に進化し架装されたのである。全車に標準設定だ。予防安全の「見る」機能は、これまで同様、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせである。これに変更はない。だが、これまで認識できなかった昼間の自転車と、夜間の歩行者を認識できるようになった。これが目玉。トヨタの調査によると、歩行者の死亡事故の約7割は夜間に起きているという。クルマ対自転車の死亡事故の発生は、約8割で昼間。今回のシステム強化によって、大幅に事故が減ると思われるのだ。

「レーントレーシングアシスト」の新設定も時代に合っている。クルーズコントロール作動時に、車線を読み取って道路から飛び出すのを予防してくれるのだ。実際に高速道路でチェックすると、ハンドルが小刻みに修正舵を加えながら車線をキープしてくれた。反応も早いから、車線内をふらふらすることも少ない。比較的速いスピードでも、車線を守ろうとしてくれていた。次世代の自動運転を予感させる完成度だった。

その他、標識の見落としを補う「ロードサインアシスト」も加わり、「先行車発信告知機能」も備わる。このところスマホ時代の弊害で、信号待ちなどで先行車が発進したことに気づかず、後続車に迷惑をかけるドライバーが少なくない。そんなドライバーにはありがたい機能である。追加された安全機能はそればかりではない。「リアクロストラフィックアラート」は、数台が並んだ駐車場から後ずさりするさい、後方の障害物を広い範囲で認識する機能だ。「ブラインドスポットモニター」は、横後方の見づらい部分も認識してくれる。さらには、夜間のハイビームでは、先行車や対向車の照射だけを切り取ってくれる。迷惑をかけずに、ハイビーム走行ができるというわけだ。このような機能も満載なのである。

アルヴェルは、威圧感の強いルックスで人気の高いモデルだが、一方で安全性にも磨きをかけているのだ。特に、自らを守るだけでなく、対向車や先行車や、あるいは歩行者や自転車への優しい配慮が印象的だった。そのルックスとの対比が面白い。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

木下隆之| モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも。

《木下隆之》

木下隆之

学生時代からモータースポーツをはじめ、出版社・編集部勤務を経て独立。クルマ好きの感動、思いを読者に伝えようとする。短編小説『ジェイズな奴ら』も上梓。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「心躍るモデルに高得点を与えるつもり」。海外レース経験も豊富で、ライフワークとしているニュルブルクリンク24時間レースにおいては、日本人最高位(総合5位)と最多出場記録を更新中。

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