北海道第3の特急と十勝の無人駅が廃止に…JR北海道 2018年3月のダイヤ改正

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『北斗』運行最終日の函館行き『北斗12号』。千歳線新札幌~上野幌間。
『北斗』運行最終日の函館行き『北斗12号』。千歳線新札幌~上野幌間。 全 5 枚 拡大写真

3月17日、JR北海道でダイヤ改正が実施され、函館~札幌間では特急『北斗』が運行を終了。根室本線では、無人駅の羽帯(はおび)駅が廃止されるといった動きがあった。

■半世紀余りの歴史に幕を下ろした『北斗』

今回の改正で廃止された特急『北斗』は、北海道第3の特急として、1965年10月のダイヤ改正で登場した。

当時はキハ80系特急型気動車により、函館駅(函館市)と旭川駅(旭川市)を結んでいた。1961年10月に運行を開始した『おおぞら』が釧路を、1964年10月に運行を開始した『おおとり』が網走を指向していたのに対して、『北斗』は両列車を補完する札幌指向の列車だった。

1980年代に入ると、キハ80系の老朽化が進んだことから、1983年にはその後継車であるキハ183系特急型気動車(0番台・初期型)を『北斗』に投入。1986年11月に実施されたダイヤ改正では、そのモデルチェンジ車である、貫通タイプの500・1500番代(N183系)が登場し、表定速度(営業距離を停車時間を含む運行時間で割ったもの)が気動車特急でナンバー1に。函館~札幌間4時間の壁を初めて突破した。

さらに1988年には120km/h運転に対応したバージョン(NN183系)も投入。1994年3月のダイヤ改正からは、改造車による130km/h運転も開始された。

最大で8往復を数えた『北斗』だったが、1994年3月にJR北海道初の振子式車両・キハ281系特急型気動車による『スーパー北斗』が登場すると次第に主役の座を奪われるようになり、今回のダイヤ改正ではついに函館~札幌間系統の特急がすべて『スーパー北斗』化。『北斗』の50年余りにおよぶ歴史に幕が下ろされた。

『北斗』の下り最終列車は、函館16時35分発『北斗17号』で、編成は札幌方から、キハ183-4559+キハ182-7557+キハ182-7555+キハ182-7553+キロ182-7551(グリーン車)+キハ182-7558+キハ183-8566の7両だった。

なお、『北斗』に使われていたN・NN183系は、札幌・旭川~網走間の特急『オホーツク』『大雪』に転用される見込みだ。これらに運用されていた初期型のうち、「スラントノーズ」と呼ばれる非貫通タイプの先頭車・キハ183形200番台(0番台の改造車)は、改正前日を待たずにすべて運用から外れており、残すスラントノーズ車は『旭山動物園号』に運用している0番台2両となるが、これも3月25日限りで引退する。

■いつもは1人でも、お別れムードに湧いた羽帯駅

一方、根室本線では、1958年9月に開業した羽帯駅(清水町)が廃止され、およそ60年におよぶ歴史に幕を下ろしている。

羽帯駅は、北海道の十勝地方に位置する1面1線の無人駅。北海道で同タイプの駅は、国鉄時代に時刻表に掲載されない仮乗降場でスタートし、JR北海道への移行時に正式な駅に昇格したものが多いなかで、羽帯駅は最初から正式な駅として開業した。

しかし、近年では1人が利用するかしないかという状況となっていたことから、JR北海道からは「極端にご利用の少ない駅」に挙げられ、普通列車も通過するものが目立っていた。昨年3月のダイヤ改正では利用の少ない10駅が廃止されているが、今回の改正では羽帯駅のみとなった。

羽帯駅の営業最終日となった3月16日は、16時48分発新得行きと16時55分発帯広行きの発着の際に、さよならイベントを開催。地元の清水町がイベントのために十勝清水駅から無料バスを運行し、その車内で羽帯駅乗降証明書を配布するほどの力の入れようだった。

このイベントでは、近所に住む鉄道マニアの増田秀則さんが、国鉄職員の制服姿で参加。増田さんは、羽帯駅の廃止がわかった時からずっと駅を撮り続けており、Nゲージサイズの精巧な羽帯駅の模型まで製作するほどの熱心さだった。

「普段乗車するときは自分1人だけが当然でしたから、これだけ人が集まってもらい良かったと思います。これで本当に最後だと思うと寂しい気持ちでいっぱいですが」と語った増田さんは、羽帯駅としては最終列車となる19時15分発新得行きを見送ったという。

なお、羽帯駅の撤去作業は最終営業の翌日からさっそく開始されるということで、ホームの撤去などは春以降になる見込みだという。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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