廃止直前、ファンでにぎわうJR三江線

鉄道 企業動向
三江線の廃止を惜しむ人で賑わう江津駅。
三江線の廃止を惜しむ人で賑わう江津駅。 全 20 枚 拡大写真

広島県の三次(みよし)駅と島根県江津(ごうつ)駅とを結ぶJR三江線(さんこうせん)は2018年3月31日いっぱいで廃止される予定で、その長いに歴史に幕を下ろす。江津に立ち寄り最後の面影を目に焼き付けておくことにした。

JR発足後に本州で100kmを超す営業距離の路線が廃止されるのは初めてで、鉄道ファンはもとより多くの人にそのニュースは注目された。もちろん廃止の最大の理由は旅客数の低迷だが、それにはこの路線の歴史にも理由があると言えるのかもしれない。

三江線が部分営業を開始したのは1930年で、全通したのは1975年と、かなりの時間を要している。このころにはすでに地域交通の柱が道路網と自動車によって確立してしまっており、全線開通にも関わらず、大幅な利用者増にはならなかったのだ。

鉄道に依存しなければならない状況ではなかったとは、江津駅にいた地元の男性も言っていた。「私も高校は沿線で通学にも利用していましたし、そのあと就職もこの近くでしたので、廃止は寂しいですが、仕方ないと思う面もあります」。

また営業距離は108.1kmと、単線の路線としてはかなり長距離であるものの、この間を道路で移動すると60kmほどですむ。「三江線は勾配を抑えるために江の川沿いに走り、カーブが多いのです」とさきの利用者。

その男性は今度江津に到着する最終列車の出発を始発駅で見送り、途中駅でも到着と出発を見てきたのだとか。「(廃止が決まってから鉄道ファンで混雑する)この状況は予想していました。自分はもうたくさん乗ってきたので、鉄道として、たくさんの乗客を乗せているところを見たいなと思って。仕事の後、列車をクルマで巡ってきました」。

廃止が決まっている三江線にさよならをしようと、地元の人や鉄道ファンと思しき人で待合室にはすでに何人かが待機していた。21時27分にその日の三江線の最終列車が到着するのを待っているのである。

構内放送ののちヘッドライトが姿を現し、江津駅にディーゼル機関の音を立てて2両編成が入線してきた。列車は満員。気候は少しずつ春めいてきたが、夜になるとかなり冷え込み、列車の窓ガラスは曇っていた。

3月31日にの営業運転最終日にはセレモニーも開かれる。その案内に加えて、ラストランを見ようとする人への注意書きなども江津駅には貼られていた。ラストランは事故のないよう十分注意して、ルールは守ってご覧いただきたい。

《中込健太郎》

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