福島原発避難解除から1年、浪江町「再生」に日産と住商が一役…EV使用済み電池再生工場稼働[新聞ウォッチ]

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気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2018年3月27日付

●日産へ過料適用通知、国交省、地裁に「組織の責任大きい」(読売・9面)

●日産、EV電池安く換えます。初代リーフが対象(朝日・9面)

●トヨタの車シェア、世界規模でタッグ、中国勢と連携準備進む(朝日・9面)

●佐川氏答弁「事実に反する」森友面接記録、理財局長陳謝(毎日・1面)

●EV使用済み電池を再生、日産と住商、国内初の専用工場(産経・10面)

●JXTG HD社長に杉森氏(産経・10面)

●再生エネ「主力電源」に、基本計画巡り経産省案(日経・3面)

●縮むウーバー、東南アジア撤退、新CEO、規模偏重を転換(日経・15面)

●クラリオン曲がり角、カーナビ→スマホ代替加速(日経・19面)

ひとくちコメント

おそらく、福島県の「浪江町」という地名は、7年前に発生した東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電の放射能漏れ事故が起こらなかったならば、東北の自然に囲まれた長閑な田園地帯の町のままで、世界的には知られなかったことだろう。

放射能漏れ事故の福島第一原発から浪江町までの距離は、最も近いところで約4kmともいわれており、事故直後には町内全域には避難指示が出されていた。その後、復興をめざして除染、インフラ復旧・生活基盤の再生を集中的に進めた結果、ようやく今から約1年前の2017年3月31日に、「帰還困難区域」を除く区域で避難指示が解除された。

JR福島駅から車で約1時間半、その浪江町に避難指示が解除されてから初めて訪れた。日産自動車と住友商事が共同出資した「フォーアールエナジー」が、電気自動車(EV)の使用済みリチウムイオンバッテリーを再生する工場を、浪江町の「藤橋産業団地」内に新設、その開所式が行われた。

きょうの各紙にも「EV使用済み電池を再生、日産と住商、国内初の専用工場」(産経)などと報じているが,国内初の再利用・再製品化拠点とされるこの新工場では、日産『リーフ』から取り外した電池を48個に分解し、劣化状況を測定。状態の良い電池は再びリーフに搭載するほか、劣化の進んだものは家庭用蓄電システムなどで再利用する。

当初は地元採用5人を含む約10人の従業員でスタートし、2020年には約50人まで増員する計画という。開所式の式典で牧野英治社長は「将来的には1000人規模に拡大し、使用済みバッテリーのグローバルな開発拠点として世界各国から視察に訪れて、浪江駅前が外国人で賑わうようになりたい」などと抱負を述べた。

では、「なぜ、浪江町なのか」である。牧野社長によると、国や県が「復興の核となるエリア」として、まちづくり整備を進める浪江町の計画と力強い支援に共感。さらに、日産は浪江町とは約70km程度しか離れていない同じ福島県のいわき市にエンジン工場があり、物流ネットワークの有効活用が可能になる利点も大きいようだ。

今回、浪江町に滞在したのはわずかな時間だったが、街道沿いにはコンビニなどもオープンしていたものの、客の出入りも少なく、町全体の人影もまばらという印象を受けた。これから浪江町が、「EV」と「再エネ」が同時に普及するスマートな街に再生できるかどうかは、使用済みEV用バッテリーの再利用に取り組む日産などが進出したように、民間企業が担う役割が重要になる。

《福田俊之》

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