【日産 セレナe-POWER 試乗】大いに迷って選んでいただきたい…岩貞るみこ

試乗記 国産車
日産 セレナe-POWER
日産 セレナe-POWER 全 8 枚 拡大写真

運転席に座ると、目の前には大きなウィンドーからの景色が広がる。見晴らしがよく心地いい。『セレナ』に人気があるワケである。そして今回、『ノート』で採用されている「e-POWER」が搭載された。エンジンで発電してモーターで走る、つまり走りそのものは電気自動車という独自の技術である。

e-POWERの楽しさは、アクセルペダルひとつで車速をコントロールできるところ。ノーマル/スポーツ/エコと3つのモードによって加速と減速が変わる。例えばスポーツに入れると、アクセルを踏んだ時にモーターならではの力強い加速が味わえ、アクセルをオフにすると、ブレーキを踏んだときのような減速感で速度が下がる。

加速はともあれ、このアクセルから足を離したときの減速は面白い。渋滞のときはアクセルペダルだけで速度をきちんとコントロールできる。さらに、長い下り坂などは特に有効で、ブレーキを踏まずとも速度が上がりすぎることなく走れて安心なのだ。運転苦手意識のある女性ドライバーには、ぜひお勧めしたい。

さらにお勧めポイントとしては、車内が静かだということ。以前、ノートの試乗記では「発電するときにうんうんうなるエンジン音がうるさい」的なことを書いたが、セレナではあまり気にならない。さまざまな遮音を施したのと同時に、発電するときのエンジン回転数を2400rpm(ノート)から2000rpm(セレナ)に落としたのも効いている。この静かさなら、後ろの席にいる子どもたちの気配も感じられ、保護者の方々におかれては使いやすさアップといったところだろう。

残念な点としては、まず、このモード切り替えスイッチの場所だ。

ハンドルの奥、ダッシュボードの右側にあるのだが、運転しながら切り替えるには、いちいち上体を前にして探らなければいけない。しかも、スライドドア開閉スイッチのそばにあり、しかもカタチも大きさも似ている部分もいただけない。e-POWERは後から追加したモデルゆえ、スイッチの場所には苦労したと思われるのだが、もう少しなんとかならなかったのかと悔やまれる。

さらに、バッテリーを積んだ関係で、セレナで人気のスマートマルチ・センターシート(二列目の中央席を小物入れとして前後に移動して使える)も不採用だ。これも残念である。

とはいえ、セレナの自動運転機能(“自動運転”ではない)で、前のクルマに追従しながら速度を一定に保つ機能は、モーター走行ゆえの加速性能のよさのおかげで上手に前のクルマについていく。これはストレスがなくて使いやすい。e-POWERにするか、ハイブリッド/ガソリンか。選択肢が増えた分、大いに迷って選んでいただきたい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新型フォレスター半端ないって! 純正用品で大変身、日本初披露“サンドカラー”のクロストレックが登場…東京アウトドアショー2025
  2. どこだ? 日産が7工場を閉鎖予定---可能性のある工場すべてをリストアップした
  3. スズキ『エブリイ』が災害時は「シェルター」に、軽キャンピングカーの新たな可能性
  4. 【メルセデスベンツ Eクラスオールテレイン 新型試乗】Eクラスを選ぶならこれが一番。ただしお値段は…中村孝仁
  5. ジェイテクト、「ベアリング」の模倣品2600点をタイで摘発
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. リチウムイオン電池の寿命を2倍に、矢崎総業、バインダフリー電極材料を開発
  3. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
ランキングをもっと見る