【池原照雄の単眼複眼】「優先して購入検討」が増加した電動車はEVだけ…自工会の市場動向調査

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メディアへの露出多く、注目度上昇

電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)など次世代車のなかで、「優先して購入を検討する」というユーザーの割合が増えたのはEVのみという、国内での調査報告が出た。電動車への関心が高まるなか、ここ数年でメディアへの露出度が増えたEVへの注目度上昇が明瞭になった。ただし、購入に際しての懸念点では、「価格が高い」といった指摘でもEVがトップとなっており、ユーザーは普及への課題もしっかり把握している。

このレポートは日本自動車工業会が4月9日に発表した「2017年度乗用車市場動向調査」。2年に1度、全国を対象に実施しているサンプル数も大きい調査で、乗用車の保有状況や購入計画など、ユーザーやユーザー予備軍の動向を継続的にまとめている。今回の調査は昨年8月から9月にかけて実施された。

このなかでEVなどに関する調査は、「次世代車への意識」として近年行っているもので、EV、HVをはじめ、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)と燃料電池車(FCV)の電動車4タイプ、さらにクリーンディーゼル車とダウンサイジングターボ車も対象になっている(回答者は自動車保有世帯の男女計約3500人)。

HVに次いでEVの特徴も理解されてきた

まず、これらの次世代車の「名前と特徴を知っているか」(複数回答)という認知度の問いに対し、最も比率が高かったのはHV(64%)で、次いでEV(57%)、PHV(31%)、FCV(24%)の順となった。日本はHV先進国であり、登録車の新車販売ではすでに半数以上がHVとなっている実情を映している。しかし、EVの認知度も過半数でHVに迫るほど高い。

EVはPHVやFCVに比べて仕組みがシンプルという背景もあるが、販売実績がまだ乏しい割には認知度が高い。ちなみに、エンジン車であるクリーンディーゼル車は26%、ダウンサイジングターボ車は14%にとどまっている。

次に、これらの次世代車の購入意識調査(複数回答)では「購入を検討したい」と「やや購入を検討したい」の合計比率が、HV(42%)、EV(21%)、PHV(20%)、FCV(7%)―という結果になった。EVは、PHVを上回っており、加えて前回の2015年調査との比較でも、HVが45%から42%と低下、PHVは横ばいのままだったのに対し、EVは18%から21%へと上昇している。

急ピッチで増えるEV予備軍

さらに、次世代車の購入を検討する際に優先順位の「1位」に挙げると回答した比率でも、トップのHV(56%)に次いで、EV(22%)は2番手に付け、以下PHV(13%)、FCV(3%)となった。この回答の15年調査との比較でも、支持率を上げたのはEV(16%→22%)のみで、HVは58%からの低下、PHVは横ばいだった。

◎優先購入を検討する回答比率の推移
 15年調査 17年調査
HV 58% 56%
EV 16% 22%
PHV 13% 13%
FCV 4% 3%

一方、次世代車の購入に際しての「懸念点」(複数回答)の調査では、すべての電動車で「価格が高い」が40%台から50%台という結果で、一番懸念されるところとなった。なかでもEVは58%で最も高かった。EVではこれに次いで、「1充電での走行距離が短い」(37%)、「充電施設の場所や数が心配」(30%)が指摘され、いずれも高い比率となった。

これらはEVが抱える弱点そのものであり、自動車ユーザーの多くは、EVの課題についてもしっかり認識していることが示された。直ちにEVの売れ行きが高まることにはならないとしても、HV優位のこの国でも「EV予備軍」は急ピッチで増えているという、注目すべき調査結果となっている。

《池原照雄》

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