三菱ふそう、ダイムラーと連携してトラックだけでなく業務すべてをコネクティッド

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三菱ふそうトラック・バスのデジタル化について説明するルッツ・ベック最高情報責任者(CIO)
三菱ふそうトラック・バスのデジタル化について説明するルッツ・ベック最高情報責任者(CIO) 全 3 枚 拡大写真

三菱ふそうトラック・バスとダイムラー・トラックス・アジアは4月25日、報道陣向けに「ふそうデジタルフォーラム」を開催した。その中で強調したのは、デジタル化を進めてイノベーションを起こし、業界のリーダーになっていくということだ。

「われわれは今まで考えられなかったことを考えていき、変革を起こしていく。業界にとってイノベーションを起こす側になっていく。トラックを全部コネクトしていき、リアルタイムの情報を入手できるようにする。自動車業界でこれほど変革を進めている企業は当社が初めてではないかと思う」と三菱ふそうトラック・バスのルッツ・ベック最高情報責任者(CIO)は説明する。

具体的には、「コネクティッドX」という戦略を展開していく。これは販売するトラックだけでなく、すべてをデジタル化してインターネットにつなげていくということだ。例えば、設計や生産現場、販売店、アフターサービスなどといった具合だ。その中には生産ラインに並ぶロボットも含まれる。また、コネクティッドXでは自動運転やサイバーセキュリティなどにも取り組んでいくという。

「私たちはトラックから、ロボットから、人から得られるデータを集めて活用し、意思決定のプロセスにも使えるようにしていく。私たちの会社は伝統的な企業で長い業歴があり、古いレガシーシステムもある。それをデジタル基盤のうえに再構築していこうと考えている。これらはすべてお客さまのために進めているものだ」とベックCIOは強調する。

ただ、その戦略を進めるために三菱ふそうとダイムラーの両社は異業種と積極的に組んでいく。例えば、MR(複合現実)ではマイクロソフト、ビッグデータ分析ではデロイトトーマツコンサルティング、クラウドプラットフォームではホートンワークスだ。

その中で、マイクロソフトとは同社が開発したMR用端末「ホロレンズ」を活用していく。ホロレンズは目の前に広がる現実の風景に架空の3D映像を重ねて表示するゴーグルのようなもので、それを商用車のデザイン部門に取り入れる。

これによって、クレイモデルを製作する前に試作車を視覚化することができ、「世界に分散しているダイムラーグループのデザイナーがホロレンズを通じて連携していける」(ベックCIO)という。さらに、生産部門などにも活用していく方向だ。

自動車業界は電動化、自動運転、コネクティッドの波が一気に押し寄せ、そこにIT企業などの異業種が参入して100年に一度といわれる大きな変革期を迎えている。その中で注目を浴びていたのは乗用車メーカーだったが、今後は商用車メーカーのほうがその動きが一気に加速していきそうで、三菱ふそうトラック・バスの動きには目が離せないと言っていいだろう。

《山田清志》

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