【ニュル24時間】今年もSUBARUが挑む! 勝つために8分台を目指した2018年仕様マシンの進化

モータースポーツ/エンタメ モータースポーツ
PR
SUBARU WRX STI(ニュル24時間2018仕様)
SUBARU WRX STI(ニュル24時間2018仕様) 全 10 枚 拡大写真

SUBARU(以下スバル)は「SUBARU WRX STI NBRCHALLENGE2018」として今年もニュルブルクリンクの24時間耐久レースに挑戦する。クラスは2.0リットル以下のターボエンジン搭載車を対象にした「SP3T」。

同クラスで5度目の優勝を目指し、「緑の地獄」との異名を持つドイツの過酷なサーキット、ニュルブルクに『WRX STI』をベースに仕立て、さらなる進化を遂げたマシンが送り込まれた。今年のマシンの進化のポイントとともに、スバルが市販車をベースにするマシンでレースに参戦する理由を紐解いていこう。

パワーアップでスピード性能を向上

「8分台を目指してマシンを開発してきました」というのは総監督としてチームを率いるSTIの辰巳英治氏だ。リストリクターの径が37mmに制約されるなどレギュレーションが厳しくなるなか、優勝を狙うにはクルマを速くしていかないと難しい。そこでSTIが2018年仕様のマシン作りの目標としてきたのが「ラップタイム9分切り」というわけだ。ちなみにニュル24時間耐久レースは、市販車のタイムアタックもおこなわれる「ノルドシェライフェ(北コース)」にF1も開催されたグランプリコース(約5km)を加えた約25kmでおこなわれる。

「昨年からの進化のポイントはまず、スピードが上がっていることです」(辰巳氏)。タイムを縮めるにはまず、ストレートでのスピードを高めるのが近道。そこで空気抵抗を減らすのにあわせ、圧縮比の変更、燃焼室形状の改良、ターボの効き方の最適化、エキゾーストレイアウトの見直しによりパワーアップも実施した。コーナリング性能も高めないとトータルでの速さは実現できない。そこで旋回性を上げるためにトレッドを広げている。またブレーキも強化。「サイズを上げて、GT3マシンと同じくらいの止まる性能を手に入れています」と辰巳氏は言う。

ドライバーの快適性の向上も大きなポイントだ。「耐久レースなので特に、ドライバーが快適でないと速く走れません。安心してドライバーが乗れるように、ステアリングやシフトといったフィーリング面など、人間が操作するもの全ての操作感を大切にし、工夫してきた。乗り心地も考慮している。それがないと、ニュルでは勝てない」(辰巳氏)。

熱に泣かされた17年、改善点は?

一方で昨年の経験を踏まえた改善点としてあげられるのがクーリング性能の向上だ。「昨年は熱に泣かされたのです。暑くてエンジンパワーが落ちてきた。今年はその対策をして、クーリングをよくしました」。とはいえ、辰巳氏は「重要なのは温度上昇対策だけではない」と言う。

「ニュルだから寒いこともあり得る。だから寒さ対策もしています。温度が低いときにどうやってクルマをスムーズに走らせるか。そこも重要。暑くても寒くてもきちんと走れないと、ニュルは制することができない」。

市販車ベースのマシンが持つ意義

ニュルブルクの24時間耐久レースに出場するWRXのクルマ作りにおける特徴はどんなところにあるのだろうか?

「マシンの考え方の基本は、メーカーとしてなるべくファンの人やスバル車ユーザーが乗っているようなクルマとすること。具体的に言えば、使っている基本的な部品はおおかた量産市販車と同じです。サスペンションアームなんかも量産車と同じ部品ですよ。スバルファンが見て、俺のクルマとぜんぜん違う、と思われないように考えているのです。スバルの量産車は、レースでも使えるくらい性能的に高いということをみなさんに知ってほしいのです」と辰巳氏は話す。

実際に安全装備の追加などでレーシングカー然としたマシンも、基本的にはベースの量産車に依存したメイクになっていることがよくわかる。

ところで興味深いのは、STI&スバルのチーム編成がいわゆる“レース屋”ではないことだ。「ここにいるスタッフはスバルのディーラーメカニックと、スバルやSTIの技術者や社員です。決してレース専門のスタッフではない。市販車にたけた人たちです。だからレースを量産市販車にフィードバックできる」(辰巳氏)。STIの24時間耐久レースのベースにあるもの。それは“あくまでも量産の市販車”ということなのだ。

《工藤貴宏》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  3. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 新型『CLA』を生産するメルセデスベンツ「最新デジタル工場」の現場
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る