【ニュル24時間】残り1時間で牙をむいたニュルの魔物、STIチームに何が起きたのか?

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STI/SUBARU(ニュル24時間レース2018)
STI/SUBARU(ニュル24時間レース2018) 全 8 枚 拡大写真

STI/SUBARU(スバル)が走らせた市販車ベースのレースカー「SUBARU WRX STI NBR CHALLENGE 2018」がSP3Tクラス優勝を飾って幕を下ろした第46回ニュルブルクリンク24時間レース。

2011年の参戦以来5度目のクラス優勝となり、終盤にリタイヤした昨年の雪辱を果たしたものの、その戦いは決して楽なものではなかった。

4台がエントリーするSP3Tクラスのなかでトップの予選タイムを叩き出して決勝レースをスタートしたWRX STI。1時間ほど順調に走ったものの、パワーステアリングのオイル漏れ(予選で生じた同様のトラブルとは別の個所)が発生してピット作業を実施。1時間弱のタイムロスとなるだけでなく、クラス首位の座を明け渡してしまう。

またスタートから5時間経過後には「パドルシフトの作動不良」というドライバーから報告によりエアシフターチェックをするのと同時に、オフィシャルから受けた騒音規制オーバーとの警告を受けてエキゾーストパイプを交換。素早いピット作業により交換に要した時間は5分ほどだったが、騒音規制オーバーによる失格を防ぐために、そこから先はエンジン回転数上限を抑えて走行することとなった。

その後は順調に走行を重ね、スタートから9時間経過後にはクラストップを奪回。2位以下とのリードを広げていく展開となった。

終盤戦のドラマのきっかけとなったのは、20時間が経過した後に出た濃霧による赤旗。WRX STIもピットに戻り、約1時間半後にレースが再開された。マシンは雨の中をハイペースで走行。「ここから先は、このまま走り続けていればクラス優勝」。誰もがそう思い始めた時、牙をむいたのがアイフェルの森に棲む魔物だ。

ゴールまで残り1時間というタイミングで突然のスローダウン。ストップしてしまったが、魔物にも優しさがあったのは止まった場所が山奥ではなくピットの近くだったたこと。オフィシャルの手により車両はピットボックスに戻され、そこからメカニックの崖っぷちともいえる戦いがはじまった。

クラス2位との差は16周。時間に換算すれば150分以上だから、「このままだとリタイヤだが、走り出すことができればクラス優勝」、しかしトラブルの原因は不明という状況だった。

メカニックの懸命の作業により疑わしき部品を交換してなんとかコースに復帰したのはレース終了わずか21分前(電気系統のトラブルだった)。北コースには入らずグランプリコースだけを1周して再びチェックのためにピットインし、本格的なレース再開はゴールまで残り15分というタイミングだった。ゴールに向けてピットレーンが閉鎖される数分前である。本当に「もはや後がない状況」だった。

現地時間13日の15時30分。車両を送り出してからわずかなタイミングで、最後までメルセデスベンツAMG GTと白熱したバトルを繰り広げたポルシェ 911がチェッカーフラッグを受けて24時間の熱い戦いが終了。最後の1時間でリタイヤの危機に直面したスバルのマシンも、最後の最後でレースに復帰できたことでリタイヤを免れ、2年ぶりのSP3Tクラス優勝を果たした。重ねた周回は112周で、距離にすると約3000kmとなる。

《工藤貴宏》

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