日本で最もSUVのラインナップが多いメーカー…メルセデスベンツ

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メルセデスベンツ Gクラス
メルセデスベンツ Gクラス 全 32 枚 拡大写真

セダン系のイメージが強いメルセデスベンツだが、実はラインナップも販売台数もSUVの割合が高いという。

◇39年の歴史があるSUV

メルセデスベンツのSUVの歴史を振り返ると、1979年に登場した『Gクラス』にまでさかのぼり、既に39年が経過している。

またSUV市場に超高級ブランドまで参入して来ている現在、プレミアムブランドにメルセデスベンツがSUVを登場させたのも比較的早く、1997年に『Mクラス』をラインナップ。メルセデス・ベンツ日本広報室製品広報課マネージャーの木下潤一氏は「この市場での草分け的なクルマだ」と位置付ける。Mクラスはアメリカのタスカルーサ工場で作られる初めてのメルセデスベンツで、現在は『GLE』に名前を変え販売されているモデルだ。

◇日本で最もSUVラインナップがそろうメルセデス

現在メルセデス・ベンツ日本のSUVラインナップはコンパクトの『GLA』からフルサイズの『GLS』まで7車種41モデル。さらに『GLC』と『GLE』にはクーペボディも用意され、リアルオフローダーのGクラスもあるので、「どのようなお客様の要望にも応えられるラインナップをそろえている」という。また、そこにクロスオーバーの『Eクラスオールテレイン』も加えればさらにラインナップは増えることになる。

木下氏は、「日本で販売されている自動車ブランドの中で、SUVのラインナップは最多だ。これは輸入車だけではなく日本車も含めて一番多い」と述べる。

また、同社のボディタイプシェアを見ると、「2015年では16%と既にSUVの比率は高かったものから、2017年では22%と販売比率が上がる。セダンのメーカーと思われがちだがそのセダンに肉薄するぐらいの販売費率を記録している」と話す。特に昨年は「GLAを始めGLCが好調であったことと、Gクラスが堅調に推移したことが要因だ」と分析。

また余談としながら木下氏は、「ステーションワゴンが19%の割合を占めた。日本のステーションワゴン全体のシェアはシュリンクしている状況で、『Cクラス』や『Eクラス』のステーションワゴンが好調で、特にCクラスステーションワゴンは、中国や米国を含む全世界で5本の指に入るくらいの販売台数を記録している」とその特徴を述べた。

◇多彩なラインナップ

SUVのラインナップそれぞれの特徴について木下氏はまず最もコンパクトなGLAに触れる。「最低地上高は150mmとSUV然としたクルマよりは少し抑え気味にしており、全高は1505mmとタワーパーキングにも入ることがウリのクルマだ」と説明。

特に『GLA220 4MATIC』という2リットルガソリンエンジンと四輪駆動が組み合わされたモデルは、「北海道や東北などの積雪地域から、なるべく買いやすい価格の四輪駆動車で、最低地上高が確保されている普段使いしやすいモデルが欲しいという要望から導入した、GLAで最も売れているグレードだ」と話す。

ミドルサイズSUVとして販売台数が伸びているのがGLCだ。その中で特徴的なグレードは『GLC43 4MATIC』で、3リットルガソリンエンジンを搭載したAMGモデルだ。木下氏は、「AMGなので販売台数は限られると思いきや、実はかなり売れ行きの良いクルマだ。普段使いではとても快適に乗れ、かつアクセルを踏み込めば凄い加速をするというそのアンバランスさが好評を得ているようだ」と説明。

そして本格オフローダーのGクラスは現在限定車を販売している。『G350dヘリテージエディション』と呼ばれるこのモデルは、39年の歴史の中で特に人気のあった外装色を採用した、日本のみ463台限りのクルマだ。この台数は型式に因んだ数字で、プロフェッショナルブルーやライトアイボリーなど5色が用意されている。

そのほかにも前出アメリカ工場で現在製造されている全長5130mmの7人乗りフルサイズSUVの『GLS』やGLEなどがラインナップされている。

◇供給が追いつかないクロスオーバー

Eクラスオールテレインについて木下氏は、「これはSUVではなくSUVとステーションワゴンの良いとこ取りをしたメルセデス初のクロスオーバーモデル」という。220dのみのバリエーションで、専用のエクステリアパーツを装備し、クロスオーバーとしての差別化を図っている。より大径なホイールと、エアサスペンションを標準装備し車高は30mm、最低地上高は25mm、Eクラスステーションワゴンよりも高い設定だ。

さらにエアサスペンションを搭載しているので標準状態から20mmさらに上げることが出来、一方高速道路上などでは15mm下げられ、「ほぼステーションワゴンと変わらない車高になり省燃費、走行安定性向上を狙っている」と述べる。

また、オールテレインモードが手元のスイッチで簡単に選択可能だ。このイメージは、「オフロードモードだ。車高が20mm上がり、さらにESPのモードなどがオフロードに最適なものに切り替わる」という。

このモデルは、「大変人気で供給が追いつかない状態が継続しており、とてもお得な価格設定がその要因のひとつだ」と木下氏。Eクラスステーションワゴンで同じエンジンのAMGライン付きがおよそ850万円で販売されているのに対し、このクルマは861万円。「4MATICとオールテレインの特徴的な外装が装備され、さらにエアマチックが搭載され10万円ぐらいアップと、戦略的な価格が功を奏し、非常に好調に販売推移している」とした。

◇高額モデルほど都市部に多い

木下氏は、「SUVは雪に強いというイメージがあり、北国の比率が上がるかなと思いきや、実はメルセデスの場合はあまりその特徴は出ておらず、関東、特に東京ついで神奈川といった都市圏の割合が高く、メルセデスベンツ全体の割合と変わらない状況だ」と市場を分析。

ただし、個別モデルでは前述のGLA220 4MATICなど、「北国からの要望からオファーしたクルマなので結果を見てみても当然ながらそういったところでの販売割合が高い」と説明。一方、「GクラスやGLSといった高額モデルは都市部に偏った販売構成になっている」と述べた。

ユーザーの特徴として木下氏は、GLAの女性比率の高さを挙げる。「契約書上での女性比率なので実際のドライバー比率を含めるとさらに高くなるだろう。メルセデスベンツの中では飛び抜けて女性比率が高く、野球でいうと首位打者が取れるくらいの割合だ(笑)」と述べる。

またメルセデスの中でも一番購入しやすいグレードということで、「サラリーマン比率が高い」という。

GLCでは「競合からの買い替えが非常に多い」と木下氏。「『Aクラス』やGLAなど競合からの買い替えが多く、GLCも同じレベルだ。一方、同じサイズのCクラスなどでは同じメルセデスからの乗り換えが多いゾーン」とし、GLCがGLAなどよりサイズが大きいにも関わらず、競合からの買い替えが多いことを強調。

この傾向はGLEも同様で、「SUVユーザーは色々なブランドを購入する、あるいは、SUVにこだわっておらず、クーペやセダンからSUVに乗り換え、あるいはその逆もあり、割と自由にクルマを選んでいる」と話す。

また、GLCでは「サラリーマン比率は徐々に落ち、GLEやGLSになると経営者や弁護士、公認会計士、医師などの比率が高くなる」と述べた。

そして、本格オフローダーのGクラスの特徴は、「とにかく指名買いが多い。他のモデルと迷ったという方が少ないモデルだ」と木下氏。「また平均年齢がとても若く、メルセデスベンツのセダンなどは、50代くらいの平均年齢であるのに対し、Gクラスは40代が平均と、若い人に支持されているモデルだ」と位置付けた。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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