【イヴォークコンバーチブル ディーゼル 試乗】爽快の極み!オープンSUV、意外とアリだ…中村孝仁

試乗記 輸入車
レンジローバー イヴォークコンバーチブル ディーゼル
レンジローバー イヴォークコンバーチブル ディーゼル 全 17 枚 拡大写真

目線の高いコンバーチブル。それは『イヴォークコンバーチブル』の大きな特徴だ。2年前にこのクルマが登場した時、これはこれで有りだと感じた。そのイヴォークコンバーチブルにディーゼルエンジンが搭載された。

ガソリン仕様でも車重は、このサイズ(全長4355×全幅1900×全高1660mm)ながらすでに2トンを超える(2013kg)というかなりの重量級だったから、例え240ps、340Nmでも、その走りには少しまどろっこしさを覚えていた。今回のディーゼルはその最大トルクが430Nmと一気に90Nmも増えている。その発生回転数こそ1750rpmと500rpmほど上昇しているが、力強さが一段と増したことは言うまでもない。因みに最高出力の方は180psと60psもダウンしているが、ご存知の通り、この最高出力はトップエンドでの性能に影響してくるものなので、日常性能にはほとんど影響を及ぼしていない。

で、その走りがどう変わったかというと、やはりパーシャルから踏み込んで行った時の力強さは格段に増している。しかも車重は僅か24kg増えているだけだから、フロントのアクスル荷重もほとんど変わらず、運動性能にも加速性能にも影響は与えていない。

もともとインジニウムのディーゼルは、他のジャガー・ランドローバーモデルにはすでに搭載されていて、個人的にはデビュー当時最も優れた2リットルディーゼルだと思っていた。少なくともその動力性能に関する限り、今もトップクラスだと思っているのだが、この2年でディーゼル市場は大きく進化してきた。BMWは新世代のモジュラー型に変化し、メルセデスも新たに2リットルディーゼルを作り上げた。ボルボは最新作で尿素を吹くものに変化させ、VWが新たに市場参入するなど、市場環境そのものが変わっている。とはいえ、動力性能的にインジニウムは今でも間違いなくトップクラスである。

では何が違ってきているか。それは燃費である。確かに車重の重いイヴォークコンバーチブルでは、そのあたりが不利に働くであろうことは想像に難くないのだが、直前に試乗したメルセデスの最新ディーゼル、『E220dオールテレイン』の燃費が、950km走って18.6km/リットルであったのに対し、イヴォークコンバーチブルはというと500km走って12.6km/リットル。確かに車重は100kg近くメルセデスの方が軽いが、とはいえあまりにもその差が大きいのが気になったし、これが日進月歩の現在の自動車開発事情なのかと唖然とさせられた。たった2年で、クルマは驚くほど進歩する。VWが2年遅れでディーゼルを投入しても、その差が歴然とするのは、この状況を見ても理解できるというものだ。

とまあ、燃費に関してはネガな要素があるのだが、そうはいってもこのクルマは「余人をもって代えがたし」ではないが、このセグメント唯一のコンバーチブルである。その爽快さ、しかも目線が他のコンバーチブルから比べたら顕著に高く、加えてイヴォークのコックピットはこれまでランドローバー社が特徴として掲げてきた、コマンドポジションではなく、囲まれ感の強いもの。バスや大型トラック以外から見降ろされて中が丸見えになる心配もなく、大いにオープンエアモータリングが満喫できる。

風の巻き込みも予想外に少ないが、実際に開けて走ってみて、爽快の限界は80km/h付近にあることが判明。やはり高速道路をオープンエアモータリングするのはきつい。風よりむしろ、その風を切る音にやられてしまう。

もう一つ残念なことは、やはりユーティリティーは性格上低い。ちゃんとラゲッジスペースを確保したうえで、開閉機構を作ってはいるが、決して広いとは言えず、ちょっとした大物荷物を積む際は、リアシートの世話になることになる。

初めはSUVのコンバーチブルに懐疑的だったが、有りだ。ただしセカンドカー的様相は極めて強いが。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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