CEBITが開催されたハノーファーは、フォルクスワーゲンの本拠地であるヴォルフスブルクが属するニーダーザクセン州の州都であり、いわゆるお膝元だ。それゆえ、フォルクスワーゲングループはCEBITで数多くのブースを設置し、イベントも実施するなど力の入ったプレゼンテーションを展開した。
そして今回のフォルクスワーゲングループの目玉展示として選ばれたのが、『セドリック・アクティブ』の世界初公開だ。
セドリック・アクティブは、フォルクスワーゲンのドライバーレスカーコンセプト『セドリック』の5代目にあたる、アクティブなライフスタイルに対応するコンセプトカーで、展示車にはサーフボードが搭載されている。
フォルクスワーゲングループのCDO (Chief Digital Officer)であるヨハン・ユンクビルト氏は、スクールバスや移動小型店舗など、セドリックの応用範囲を紹介しながら、今回のセドリック・アクティブについて、「マウンテンバイクのライダーはこう考えるはずだ。山頂までセドリック・アクティブで行き、そこからマウンテンバイクでダウンヒルを楽しむ。そのあいだにセドリック・
アクティブは自動運転でふもとまで戻って待つ、という使い方ができる。」とアピールした。
またユンクビルト氏は、セドリックを含めたMaaS全体に対するフォルクスワーゲングループの考え方について、「従来のパッセンジャーカー・トラック・バスに加え、MaaS向け車両・自動運転オーナーカーの領域をもカバーしていく。」と説明した。
さらにMaaSを構成する各ソリューションを5つのレイヤーで示し、上位層にモビリティプロバイダー、コンテンツプロバイダーが位置するという理解を示した。
このように、セドリックに関する取り組みは、トヨタにおける『eパレット』の取り組みと非常に似通っているが、ひとつ大きな違いがある。セドリックやeパレットが繋がる先のクラウド(あるいはプラットフォーム)に対する姿勢だ。
トヨタは、eパレットを始めとするモビリティが繋がるプラットフォームとして「MSPF(モビリティサービスプラットフォーム)」を提唱し、サービス・クラウド・モビリティをつなぐ生態系を自ら作り出そうとしている。いっぽうのフォルクスワーゲンは、そのような大きな青写真をこれまで提示していない。ここが両社の姿勢の大きな差異といえるだろう。