【ジャガー E-PACE 試乗】女コドモでも軽々操作、と考えていたら大間違いだ…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
ジャガー E-PACE(写真は海外仕様)
ジャガー E-PACE(写真は海外仕様) 全 8 枚 拡大写真

ジャガーのコンパクトSUVである。迫力あるフロントグリルで構成された強面の顔つきに、1900mmもある横幅だと、どこがコンパクトなんだと言いたくなるけれど、たしかに全長の4410mmは、駐車場に入れたときに「あれ?」というくらいあっけない。

ルーフラインは後方にいくにつれわずかに下がり、リアウィンドーは思い切りナナメに寝かされて、荷物を入れる空間が減ったところでなんのその。走りとデザイン優先の洒落た雰囲気がにじみ出ている。

運転席に座ると、これまたナナメに寝かされたカーナビ画面が目に入る。この角度だと、太陽が当たったときに反射して画面が見えにくいので、ここはデザイン優先ではなく実用性を考えてもう少し立ててほしかったというのが本音。

次に目がいくのは、シフトレバーだ。ジャガーといえば丸いダイヤル式が定番になっているのに、いわゆる一般的なシフトレバーが採用されている。このほうが、MTモードに切り替えてのシフトチェンジがしやすく、走りを意識している感が伝わってくる。とはいえ、私としてはハンドルについているパドルシフトの方が使いやすいのだけれど。

試乗車は、ラインナップのなかでも最上位パフォーマンスを誇る「R-DYNAMIC」のガソリンターボである。まず、シートが硬い。背骨のS字にあわせてシートバックの形状を変えられるのだが、背中への当たりが硬めで、どっかり座らず、緊張感を持って操れと意思表示をされているようだ。

エンジンの重厚な音。ハンドルの重さ。そして、アクセルはもっと重い。走りだした瞬間から、ボディ全体が筋肉の塊となって、運転席にいるドライバーの体全体にぎゅーっと重力がかかってくるようだ。モードスイッチは、エコ~コンフォート~ダイナミックと切り替えられるのだが、ダイナミックに入れると、さらに重さが増し、その重厚感のまま前に突き進むといった感覚になる。多くのクルマはダイナミックにあたるスポーツモードに入れると、トルク感あふれる機敏な加速というイメージだけれど、『E-PACE』はそんな気軽さは微塵も感じさせない。あくまでも、ドライバーが腕を動かし、脚に力を入れ、自らの目的を持って操作することで走りにつながる感じなのである。

コンパクトSUVという響きに、女コドモでも軽々操作……と勝手に考えていたら大間違いだ。このR-DYNAMICは、ハンパな気持ちでは乗りこなせないのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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