【スーパーフォーミュラ 第4戦】王者たちを抑え、ニック・キャシディがポール獲得…近藤真彦監督は決勝にも手応えあり

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左から予選2位の山本、ポールのキャシディ、3位の石浦。
左から予選2位の山本、ポールのキャシディ、3位の石浦。 全 8 枚 拡大写真

7日、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)第4戦の予選が富士スピードウェイで行なわれ、気まぐれな雨に翻弄された展開を制し、KONDO RACINGのニック・キャシディが歴代王者たちを抑えてポール獲得を果たした。近藤真彦監督は決勝に向けても手応えがある旨を語っている。

金曜フリー走行があった前日に続き、天候が懸念された予選日の富士。この日の空は概ね「曇り時々雨」での推移となった。午前中のSFフリー走行の際は、主に前夜から残った雨で路面はウエット。しかし午後になると天候は曇りで安定し、併催の全日本F3第5戦決勝はドライ路面で実施された。

ところがSFの3段階ノックアウト予選開始の2時30分が迫る頃から、再び雨が降ってくる。しかも降ったり止んだりの極めて難しい状況に。予選はこの気まぐれな雨に翻弄される流れとなり、ドライ用スリックタイヤで走るか、レイン用の溝付きタイヤで走るか、各陣営は悩まされ続けることとなった(ドライタイヤはQ1ではミディアムのみ使用可、Q2以降はソフトも選択できる)。

Q1~Q2を勝ち抜いた8台がポールポジションをかけて戦う最後のQ3が始まった時、7台はドライを選択してコースインした。だが、彼らはすぐにピットインし、急いでレインへと履きかえることに。ここで唯一、最初からレインを選択していたのが#36 中嶋一貴(VANTELIN TEAM TOM'S/トヨタ)で、7分という短いセッション時間を考えればタイヤの温まり等の面で優位に立ったものと思われた。

しかし最終的に#36 一貴は4位にとどまることとなり、ポールポジションを獲得したのは#3 N.キャシディ(KONDO RACING/トヨタ)だった。結果から見ると、履きかえ組7台のうちで2周アタックできた者がアドバンテージを得ることになり、そのタイミングも活かしたキャシディが1分38秒098をマーク、後続にコンマ2秒差をつけて今季初ポールを獲得したのである。

「とても嬉しく思うよ。今年はSFでも結果を出すことにフォーカスして努力を続けている。今日も集中して自分の仕事に臨み、こうして実際に良い結果を出せたわけだからね」と喜びを語るキャシディは、SFには今季が参戦2年目となるニュージーランド出身の23歳(8月で24歳)。既に昨季、もうひとつの日本トップカテゴリーであるSUPER GT/GT500クラスではチャンピオンに輝いている若き実力者だ。

SFでも新人だった昨季からポールポジションや3位表彰台を獲得するなど活躍していたが、キャシディ自身にとってはそれでも物足りなかったのだろう。今季は前戦SUGOで決勝自己最高位を更新する2位となるなど、一層の充実ぶりを見せている。当然、次に(明日の決勝で)目指すのはSF初優勝ということになろう。

トリッキーな展開の予選だったとはいえ、陣営は手応え充分にあり、だったようだ。KONDO RACINGを率いる近藤真彦監督がこう語る。

「今回、金曜の走行から2台ともマシンバランスが良かったからね。(フリー走行の)順位は(走った時の)路面状況で決まった面があるけど、速さはあった。だからポールを獲れるかどうかはともかく、予選の最後(Q3)まで行くことはなんとなく読めていましたよ」。やはり参戦2年目の#4 山下健太は展開のアヤのなかでQ3進出ならず予選12位に終わったが、「もし健太がQ3にいけていたら、ニック(キャシディ)の一番のライバルは健太だったかもしれない」。それくらいの好感触を近藤監督は今回、2年目コンビから得ていたのである。

ドライが予想される決勝に向けても近藤監督は手応えを示す。まず、「ニックにはポールからスタートを決めて逃げてもらいたい」。狙うはチーム10年ぶりのトップフォーミュラ優勝だ。「それと健太には『この予選順位だと明日は(雨で)荒れた方がいいんじゃないか?』って言ったら、『いや、ドライでもいけますよ』って話していたからね。富士は抜けるコース。セットアップが決まっているんだから、丁寧に1台1台抜いていけばいいところまでいけると思う」。山下にも上位進出を期待できる状況、KONDO RACINGの明日の戦いが楽しみになってきた。

予選2位は今季2戦全勝(決勝中止が1戦あるため)の#16 山本尚貴(TEAM MUGEN/ホンダ)。3位に#1 石浦宏明(JMS P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)、そして4位に#36 一貴と、予選ではキャシディに抑えられたSFチャンピオン経験者3人が彼を包囲するかのような態勢、面白い状況である。5位には#17 塚越広大(REAL RACING/ホンダ)、6位にも#19 関口雄飛(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL/トヨタ)と優勝経験のある手強いところがつけており、上位の争いはかなり激しくなりそうだ。

激戦必至のSF第4戦決勝レース(55周、250km)は、明日(8日)の午後2時15分にフォーメーションラップ開始予定となっている。

《遠藤俊幸》

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