お洒落な大人のモデリスタver.スポーティクラウン

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お洒落な大人のモデリスタver.スポーティクラウン
お洒落な大人のモデリスタver.スポーティクラウン 全 20 枚 拡大写真

新型トヨタ『クラウン』の試乗会は、陽の光が燦々とそそぐ、抜けるような青空に恵まれた日に開催された。試乗は、東京湾海底トンネル「海ほたる」を潜って越えた先の瀟洒なホテルをベースにしていたこともあり、どこか穏やかな雰囲気に包まれていたように思う。

会場には、ジャーナリストの試乗を待つ10数台の新型クラウンが並んでいた。どれもピカピカに磨き上げられ、新型モデルに漂う独特の初々しさや溌剌とした活気を発散していた。それでいて、どこか凛とした落ち着きを伴っていたのは、もはや対象がクラウンだからという安心以外に思いつかない。
ただ僕は、そんな10数台のクラウンの中に、ひっそりと佇む一台のクラウンに目が止まった。僕の目を惹いたのは、そのクラウンだけが特別に、大地に力強く根を生やすような安定感と凄みを伴っていたからである。
僕はすぐに関係者に尋ね、それが「モデリスタ」だと知り、早速取材を申し込んだ。気になると居ても立っても居られない性分ゆえにご迷惑をおかけするのは僕の悪い癖だが、モデリスタ担当者は快く僕の取材を引き受けたくれたのだ。 新型クラウンの大命題は若返りだという。平均ユーザー層は60歳代に達しており、それを大幅に下げるのが使命だ。その若返りの思想が色濃く感じられたのが、「モデリスタ」である。今回取材したスポーティ仕様「RS」は特にそれが際立っており、クラウンのターゲット層とは別の、30歳代から40歳代に似合うと思う。いわば次世代のリーダー層に相応しい。ビジネスだけでなく、オンもオフも、共にライフスタイルが充実したバリバリの働き盛りの男がドライブしたら鮮やかにキマルのだろうなぁと感じた。
デザインテーマは「エキサイティング・フラッグシップ」だという。クラウンが日本国民の憧れる基幹モデルであることに疑いはない。言葉を変えればそれは、「安心」「落ち着き」である。だがモデリスタのデザインはそこに「興奮」を盛り込んでいるのだ。
ドレスアップパーツは豊富だ。単品でも選べるとのことだが、フロントビューが一層精悍になるフロントウイングスポイラーとディフューザー的な装飾のリアスタイリングキットと、そして前後のそれを流れるようにつなぐサイドスカートの3点が「エアロキット」と設定されている。
そればかりか、「クールシャインキット」と呼ばれるエキストラが用意されている。フォグベゼルガーニッシュとミラーガーニッシュ、フロントフェンダーの後端にアクセントを加えるフェンダーガーニッシュが全体を引き締めるのだ。
19インチにアップされたアルミ+タイヤと組み合わせると、迫力が一段と増す。マフラーのテールエンドは、角型の4本出しに改められ存在感を主張していた。
全体的な印象は低重心である。エアロパーツの追加によって、フロントの地上高は約40mmダウン、サイドは約50mm、リアは約30mm下げることに成功している。
そもそも新型クラウンの技術的な特徴は、新開発のTNGAプラットフォームにある。それによってタイヤを四隅の配置することが可能になり、低重心にも貢献している。モデリスタのそれは、その印象を視覚的に強調したのである。俊敏な野生動物がサバンナを駆け回る時の、やや前傾の姿勢を想像した。車の息遣いすら聞こえるようだ。
渋いメッキ処理も鏤められている。フロントからリヤに流れるエアロから、ボディの余白を埋めるように追加されるクールシャインキットも、すべて見るものの記憶に残像を記すかのように煌びやかなのである。それでいて、目を射るようにギラギラしてはいない事にふと気づいた。

担当者に確認すると、モデリスタとしてクラウンならではのスポーティさとエレガンスさを両立させるべく、メッキの加飾に漆黒メッキを初採用したとの事。このトーンを抑えた漆黒メッキがイカしている。さらにアルミホイールなどは、スパッタリングに切削加工を施すというとても手の込んだ仕様にする芸の細かさなのだ。確かに、下回りの色を変えるギミックは、欧州のスポーティなセダン等で使われる技法だ。それをメッキの色を使って表現するとはさすがである。レクサスFスポーツがそうであるように、あるいはドイツのプレミアムブランドが採用するような世界の流行の先を進んでいる。となると、BMW5MスポーツやアウディS6、もしくはメルセデスEクラスのAMGパッケージあたりがライバルになるのだろうと想像した。つまり、「お洒落な大人のスポーティクラウン」といったところが裏テーマなのだ。

モデリスタはトヨタディーラーで購入可能な正統派モデルである。だから、たとえばフロントのウイングスポイラーなどは、ベース車が採用しているポップアップフードの作動に配慮されている。というように、あくまで正統でありながら、大人の遊び心と色気を盛り込んでいるように思った。
そもそもクラウンの試乗が目的で会場にやってきたのに、モデリスタを眺めながらの時間を楽しんでしまった。欲を言うならば、そのままモデリスタで東京湾海底トンネルを潜って超えて、都内を経由して箱根あたりまでドライブできなかったのが心残りである。しかしそこまでは僕のわがままは通らなかった……。

《木下隆之》

木下隆之

学生時代からモータースポーツをはじめ、出版社・編集部勤務を経て独立。クルマ好きの感動、思いを読者に伝えようとする。短編小説『ジェイズな奴ら』も上梓。日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。「心躍るモデルに高得点を与えるつもり」。海外レース経験も豊富で、ライフワークとしているニュルブルクリンク24時間レースにおいては、日本人最高位(総合5位)と最多出場記録を更新中。

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