フロントスピーカー、どう鳴らす?…アクティブかパッシブか

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『DLS・RC6.2』。中央のボックスが“パッシブクロスオーバーネットワーク”だ。
『DLS・RC6.2』。中央のボックスが“パッシブクロスオーバーネットワーク”だ。 全 1 枚 拡大写真

カーオーディオの“花形”とも言うべきフロントスピーカー。当短期集中連載では、その“鳴らし方”を研究している。第6回目となる今回は、まさしく“鳴らし方”に直結するキーワードである、“アクティブ”と“パッシブ”について考察していく。

■音楽信号の“帯域分割”を、パワーアンプの前段で行うのか、後段で行うのか…。

最初に初心者向けに、用語解説から行っていこう。まず、“アクティブ”と“パッシブ”とはそれぞれ、そもそも以下のような意味を持つ言葉だ。“アクティブ”とは「活動的な、積極的な、能動的」、“パッシブ”とは「受身の、消極的な、受動的」。

さて、オーディオで使われるときにはどのような意味となるのかと言うと、音楽信号の“帯域分割”を、パワーンプの前段で行うのか(アクティブ)、後段で行うのか(パッシブ)を表す言葉として使われている。

“帯域分割”とは、使用するスピーカーが“マルチウェイスピーカー”のときに、必ず必要となる工程の名称だ。“マルチウェイスピーカー”とは、高音をツィーターで再生し、中低音をミッドウーファーで再生するというように、複数のスピーカーを用いて、役割分担させて音楽を再生しようとするスピーカーシステムである(ツィーターとミッドウーファーの2つで構成される“マルチウェイスピーカー”は“2ウェイスピーカー”と呼ばれている。以下“2ウェイ”の場合を例にして話を進めていく)。1つのユニットだけで低音から高音までをスムーズに再生できればそれがベストなのだが、実際のところはそれはなかなかに難しい。なので高音は高音のスペシャリストに、中低音は中低音のスペシャリストにそれぞれ役割分担させて音楽を鳴らそうとするのである。

役割分担させるにあたっては、いずれかのタイミングで音楽信号を高域と中低域に分割する必要が生じる。この分割作業が“帯域分割”というわけだ。

■“アクティブ”というスタイルを選択すると、音的なメリットを手にできる。

さて、音楽信号の“帯域分割”をパワーアンプの前段で行うのか後段で行うのかによって、どのような違いが発生するのだろうか。

まずは、パワーアンプの必要ch数が変わってくる。普通ステレオ音源はL(左)chとR(右)chとの2chで構成されているのだが、“帯域分割”を行うことで、音楽信号は計4種類に分割されることになる。であるので“帯域分割”をパワーアンプの前段で行うと、必要ch数は自ずと“4ch”、ということになる。

というわけで、“アクティブ”というスタイルを選択すると、システムはより大がかりなものとなる。つまり、コストも多くかかることとなるのだ。

しかしながらコストがかかる分、音的にはメリットが得られる。利点は主に2つある。まず1つ目の利点は「スピーカーを効率的に駆動できること」である。1つのchでスピーカーユニットを2つ担当するのと、1つだけでいいのとでは、1chあたりにかかる負担が変わってくる。さらには回路もシンプルな形になるので、ツィーターとミッドウーファー間の信号の干渉も起こりにくい。

そして2つめの利点は「サウンドチューニング(信号の制御)を、より詳細に行えること」である。

信号の制御は、信号を増幅する前に(パワーアンプの前段で)行うのだが、その段階で信号の“帯域分割”が行われていれば、ツィーター用の信号とミッドウーファー用の信号を個別にコントロールすることが可能となる。結果、よりきめ細やかな音調整を行えるのである。

■“アクティブ”システムを構築しようと思ったら“プロセッサー”を用意すべし。

続いては、“帯域分割”を行うユニットについて解説していく。まずは“アクティブ”タイプから。

パワーアンプの前段で“帯域分割”を行えるユニットとはズバリ、“プロセッサー”である。“プロセッサー”とは音調整を行うための機能が搭載されている機器であり、その中には“クロスオーバー”という機能も搭載されていて、その機能を使うことで“帯域分割”が行える。

なお昨今では、“デジタル”タイプの“プロセッサー(DSP)”が使われることが多くなっている。

対して“パッシブ”タイプのユニットとは、“パッシブクロスオーバーネットワーク”である。これは基本的にはスピーカーに付属しているものであり、個別に購入しなくてはならないものではない。タイトル写真を見てほしい。中央に四角い箱が置かれているのが確認できると思う。これが“パッシブクロスオーバーネットワーク”だ。

さて、“パッシブクロスオーバーネットワーク”を使って鳴らすスタイルにはどのような利点があるのだろうか。最大の利点は、「コストを抑えられること」だ。プロセッサーを追加する必要がなく、パワーアンプのch数も2chあればフロントスピーカーを鳴らせるわけなので、その分、単純に低コストでシステムを構築できる。

結論をまとめよう。手軽に市販スピーカーを鳴らそうと思ったら、まずは“パッシブ”でスピーカーを鳴らそう。そうすれば低コストでシステムを完成させられる。

しかし、車室内には音響的な不利がいくつかあり、プロセッサーを導入することそれら不利に対処できるようになる。なので、もしもさらなる高音質を得たいと思ったら、“アクティブ”システムの構築も視野に入れよう。そうすることで詳細なチューニングが行えるようになり、かつパワーアンプのchを潤沢に使えるようになるので、交換したスピーカーの性能をさらに引き出すことが可能となる。

今回はここまでとさせていただく。次回もフロントスピーカーの鳴らし方についての考察を続行する。お楽しみに。

フロントスピーカー、アナタならどう鳴らす? 第6回「“アクティブ”か“パッシブ”か」

《太田祥三》

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