【KTM スモールDUKE 試乗】選べる125/250/390、走りの違いとオススメは!?…佐川健太郎

モーターサイクル 新型車
KTM 125DUKE
KTM 125DUKE 全 14 枚 拡大写真
オーストリアのモーターサイクルメーカー、KTMの小排気量オンロードモデルである、スモールDUKEシリーズに試乗する機会を得た。同シリーズには125/250/390の各バリエーションがあり、それぞれ異なる排気量の水冷単気筒エンジンを共通の車体に搭載しているのが特徴である。

そのため、ぱっと見は皆同じように見える。しかしながら、スペックで比較すると125、250、390はそれぞれ最高出力が15ps、30ps、44psと大きく異なる一方で、車重に関しては137kg、147kg、149kgとあまり変わらない。これが意味するのは走りのフィーリングの違いだ。

馬力当たりの重量が軽くなるほどパワーウエイトレシオに優れることになり、当然加速性能などは高くなる。だが、重くなるほど慣性力も強く作用するため、いくらパワーウエイトレシオに優れていてもブレーキングで止まりにくくなったり、旋回性能では劣ったりする部分も出てくるなど、いろいろな条件が絡んでくる。走行性能には実際にはタイヤやサスペンションの性能も大きく作用するので、簡単に結論を出せないのが難しいところだ。こうしたことを踏まえて、各モデルの特徴を解説したい。

【125DUKE】奥深いコーナリング上達マシン
KTM 125DUKE
今回同時に試乗してはいないが、以前サーキットでテストしたときの印象について。250と比べると加速はだいぶ穏やかで、アクセル全開にしてもなかなか速度が乗ってこない感覚だが、その分どこでも全力走行を楽しめる。本格的なサーキットだと本当にノーブレーキで走れてしまうし、高速コーナーに全開で突っ込んでいける快感は125ccならでは。“人間がマシンに勝っている”と思える数少ないモデルと言っていい。

12インチのミニモトとは違い、前後17インチのフルスケールボディに鋼管トレリスフレームとWP製前後サスペンション、ブレンボのOEMであるBYBRE製ブレーキを採用するなど、上位モデルと基本的に同じ仕様が与えられているので限界性能も高い。つまり余裕のある設計になっているのだ。ということもあって、思い切ってコーナリングを楽しめる。大柄なライダーでもゆったりと乗れるライポジも魅力だ。

使い方としては、街乗りであればコミューター的に便利に使えるだろうし、サーキットではコーナリングテクを磨くための練習用マシンとしても最適。車体も軽量でパワーに振り回されることがないので、ガンガン攻めても怖くないし、その意味でバイク初心者にもおすすめだ。ほじくると、けっこう奥深い楽しみ方がいろいろ出てくるのが125DUKEだ。

【250DUKE】走りと扱いやすさのベストバランス
KTM 250DUKE
250DUKEのメリットをひと口に表すならベストバランス。エンジンパワーと車体の作りが見事にバランスしている点が強みだ。以前、袖ケ浦フォレストレースウェイで試乗したときは、ホームストレートではトップスピードで125を20km/h近く上回る加速性能を見せたし、コーナー手前でもブレーキングしつつ速度調整しながら寝かし込んでいくなど、モーターサイクルらしい操作が求められるようになってくる。

ただ、それであってもパワーははまだ適度なレベルで扱いやすく、ベテランであれば「いかにブレーキをかけずに、アクセル全開区間を多くとるか」を優先したライン取りを考えたくなるなど、走りを組み立てるゲーム的な楽しさが出てくる。ビギナーであれば本格的なサーキットデビューに向けた最良のトレーニングマシンとなることだろう。

外観的には250のみ従来型のヘッドライトまわりや、メーターにもTFTではない多機能メーターが使われるなど、見た目はややグレードが劣る感じもするが、その分コスパは高いと言える。タイヤも今回、スポルテックM5を履いていたので、安心できるグリップ感で思い切りフルバンクを楽しめた。

街乗りはもちろん、高速道路を使ったツーリングにも対応できるポテンシャルを持つなど、幅広い使い方のできるモデルである。パワーと車格のバランスが自然で馴染みやすく、ワインディングでもスポーティな走りを満喫できるはずだ。

【390DUKE】クラスレスな速さを誇るファイター
KTM 390DUKE
実際の排気量は375ccだが、その実力たるや国産ヨンヒャクを打ち負かすほど。「READY to RACE」をスローガンとして掲げるKTMの面目躍如たるスパルタンなモデルに仕上がっている。それもそのはずで、125ccクラスの車体に400ccのエンジンを積んでいると考えれば納得できるはず。

250ベースに排気量を拡大した水冷単気筒DOHC4バルブエンジンはピークパワーで44psと250の約1.5倍にして車重は僅か2kg増という凄さ。元々オフロードレーサーのエンジン開発で培われた豊かな低中速トルクと瞬発力が特長で、2速からでも軽々とウイリーできる元気の良さは、このクラスではなかなかお目にかかれない。ショートサーキットでは水を得たサカナのような走りを見せてくれた。

一方で難しさもある。パワーがある分スロットルワークにも気を遣うし、加速もトップスピードも250とは比較にならないので、より高度なブレーキングテクや俊敏な倒し込みのアクションが必要になってくる。前輪のブレーキディスクも125/250のφ300mmに対してφ320mmとより大径だし、後輪のみABSを解除できるスーパーモトモードを装備するなど本気度が伝わってくる。その意味では玄人好み。乗り手のレベルによっては大排気量スポーツモデルをカモれるほどの実力を秘めているのが390DUKEなのだ。

狙いはずばりサーキットだが、余裕の動力性能はストリートでも最強レベルだろう。



佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

この記事の写真

/

ピックアップ